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親の施設を探さないといけない。でも親の住む町にも、自分の住む町にも、どこにどんな施設があるのか分からない。そんな時に「老人ホームの紹介センター、無料です」という案内を見て、「無料って、なんで?大丈夫?」と手が止まっていませんか。
先に結論です。紹介センターは、土地勘のない地域で施設を探す時の大きな助けになります。ただし無料の理由は、施設側から紹介料が入る仕組みにあります。そのためどこに頼むかで、紹介される施設が変わります。使う前にケアマネジャーに相談し、本人の情報をできるだけ詳しく渡し、提携している範囲を聞く。この順番で使えば、無料の仕組みを知ったうえで安心して頼れます。
私は社会福祉士として福祉の現場に20年、現在はケアマネジャーとして働いています。紹介センターをご家族にすすめたことも、実際につないだこともあります。その経験から、使う手順を4つにまとめました。
老人ホームの紹介センターは、どんな時に頼りになる?

大きな助けになるのは、施設の土地勘がない地域で探す時です。私がつないだ場面を1つ書きます。
隣の県で探すことになった、ご家族の話
その方は、私が働く地域で長く暮らしてきた方でした。施設を探す段になって、ご家族から「家族の住む地域で探したい」という希望が出ました。そこはお隣の県です。
自分たちでは、お隣の県の施設の詳しい情報を持っていませんでした。そこで紹介センターにお願いしました。
紹介センターがしてくれたことは、次のとおりです。
- 候補の施設を出して、ご家族に提案する
- ご家族が気になった施設について、情報を提供する
- 料金を説明する
- 見学の段取りをする
- 見学に同行する
契約に至るまで、かなり親切丁寧に動いてくれました。ご家族は「どこにどんな施設があるか分からない中で、安心して施設選びができた」と話していて、施設は見つかり、無事に入居できました。
「自分の住む町なら分かる」とは限らない
このケースで探したのは、ご家族の住む地域でした。住んでいる町だからといって、施設の詳しい情報まで持っているとは限らないんです。
親を自分の近くに呼び寄せる時も、親の住む遠くの町で探す時も、事情は同じです。「土地勘がない」と感じたら、紹介センターが候補に入ります。あなたの探したい地域は、どちらですか。
現場のひとこと
この場面で大事だったのは、施設の数よりも、見学まで一緒に歩いてくれる人がいたことだと思っています。「どこにどんな施設があるか分からない」は、紹介センターに頼っていい理由です。
紹介センターは、なぜ無料なの?

紹介センターは、施設側から紹介料が入る仕組みで成り立っていて、だから家族は無料で使えます。家族が紹介料を払うわけではありません。
ご家族にはこう説明しています
ご家族には、この仕組みを説明するようにしています。「無料なのはなぜ?」と聞かれたこともあります。言い方はだいたいこうです。
「紹介センターさんは、提携している施設さんと契約が成立したら紹介料が施設側から入るので、利用者さん側は無料なんです」
紹介料は、どのくらい動いている?
国の検討会の資料に、業界団体の実態調査の結果が載っています。調査では、紹介手数料の平均額は20万円台。月額家賃の1〜2か月相当とする事業者が約半数でした。出典は、厚生労働省「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会 とりまとめ」です。
生活のサイズに直すと、こうなります。入居が1人決まると、施設側から紹介センターへ、家賃の1〜2か月分ほどが支払われる(そう設定している事業者が約半数)。相談や見学の同行が家族にとって無料なのは、このお金で成り立っているからなんです。
「施設からお金をもらっているなら、うさんくさいのでは?」と思いますか。仕組みそのものは、怪しいものではありません。大事なのは、この仕組みから何が起きるかを知っておくことです。それが次の章です。
なお、この記事でいう紹介センターは、有料老人ホームなど民間の高齢者向け住まいを紹介する事業者のことです。特養は、施設(地域によっては市区町村の窓口)に申し込むのが基本で、紹介センターの提携先には入らないことが多いです。施設の種類の違いはこちらで整理しています。
▶ 特養・老健・有料老人ホームの違い完全ガイド|現役の社会福祉士が選び方を解説
どこに頼むかで、紹介される施設が変わるのはなぜ?

紹介センターが紹介するのは、原則としてそのセンターが提携している施設です。どの紹介センターにお願いするかで、紹介できる施設が違います。
「地域の施設全部」から選んでいるわけではない
高齢者住まいの事業者団体でつくる「高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)」は、紹介事業者の届出公表制度を運用していて、届け出た紹介事業者が守る項目を公表しています。その中に、こう書かれています。
私たちは、入居検討者に、原則各々の紹介事業者が個別に提携している、高齢者向け住まいを紹介していること(すべての高齢者向け住まいから紹介しているわけではないこと)を説明します。
(高齢者住まい事業者団体連合会「紹介事業者届出公表制度」遵守項目)
つまり、Aセンターで出てきた候補と、Bセンターで出てきた候補は、同じとは限りません。提携の外にある施設は、原則としてそのセンターからは出てきません。
一般に、指摘されている注意点
ここからは私の体験ではなく、国の検討会で一般に指摘されている話です。
- 高い紹介手数料を提示する施設に誘導する懸念がある、との指摘
- ソーシャルワーカーやケアマネジャーなどが、紹介事業者をよく理解せずに住まい探しを丸投げしてしまうケースがある、という課題
(出典:厚生労働省「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会 とりまとめ」)
2つ目は、私たち支援者への指摘です。だからこの記事では、丸投げせずに、本人の情報を渡し、提携範囲を確かめてから使う手順をすすめています。
ケアマネと紹介センター、それぞれ何を頼む?

ケアマネジャーと紹介センターは、得意なことが違います。どちらか一方ではなく、両方を使うのがおすすめです。私がつないだケースでも、ケアマネとして本人の情報を渡し、紹介センターに候補出しと見学の段取りをお願いしました。
- ケアマネジャーに頼むこと:本人の状態・趣味や楽しみ・家族の希望・予算・生活保護の有無を整理して、紹介センターに伝える
- 紹介センターに頼むこと:提携している施設から候補を出す・気になる施設の情報提供・料金の説明・見学の段取りと同行
- 家族が自分でやること:見学に行き、自分の目で確かめる

「ケアマネに施設探しの話までしていいの?」と遠慮する方がいます。ケアマネジャーは、在宅での暮らしの様子をまとめて知っている人です。施設を探すことになったら、最初に声をかけてみませんか。
紹介センターを使う4つの手順は?

使う順番は、次の4つです。①から順に進めると、紹介センターの「提携先からの紹介」という仕組みを知ったうえで使えます。

手順①:ケアマネジャーに相談する
最初の一歩は、親の担当ケアマネジャーに「施設を探すことになった」「〇〇の地域で探したい」と伝えることです。紹介センターを使うかどうかも、ここで一緒に考えます。
遠くに住んでいると、ケアマネジャーと話す機会が少ないかもしれません。電話で「施設のことで相談したいんですが」と切り出せば十分です。施設に移る話を親にどう切り出すかで迷っているなら、先にこちらを読んでみてください。
▶ 親の施設入居、どう切り出す?|家族会議の進め方を現役の社会福祉士が手順で解説
手順②:本人の情報を、できるだけ詳しく渡す

紹介センターにつなぐ時、私がケアマネジャーとして伝えているのは、主に次の5つです。できるだけ詳しく伝えます。
1. 本人の状態(体のこと、認知症の症状、医療の処置など)
2. 趣味や楽しみにしていること
3. 家族の希望(どの地域で探したいか、など)
4. 予算
5. 生活保護の有無
趣味や楽しみも伝えています。楽しみや好きなことを伝えて、それを実現してくれそうな施設を提案してもらえたら、入居後の楽しみにもつながると思っています。
生活保護を受けている場合は、入れる施設や費用の上限が変わることがあるので、先に伝えます。
なお、紹介センターに伝えてよいかは、本人・家族の同意を取ってから伝えます。
家族の側でも、3と4は先に話し合っておくと早く進みます。予算は「月いくらまでなら払い続けられるか」の1つの数字にしておくと、紹介センターも候補を絞りやすくなります。
生活保護を受けている方は、最初にそのことを伝えてください。生活保護での施設探しの進め方は、こちらに手順を書いています。
▶ 生活保護でも入れる老人ホームの探し方|現役の社会福祉士が現場でやっている手順【完全ガイド】
手順③:提携している範囲と、施設の数を聞く
紹介センターに連絡したら、候補を出してもらう前に2つ聞いてください。
- 「探したい地域で、提携している施設はありますか」
- 「その地域で、提携している施設はいくつくらいですか」
紹介される候補は、提携先の中から選ばれます。だから、提携の範囲と数を先に聞いておくと、出てきた候補が「その地域の中のどのくらいか」が見えます。
探したい地域で使える紹介センターを探す方法もあります。高住連の「届出紹介事業者検索」では、入居を希望する都道府県や、相談方法(対面・WEB・電話)で紹介事業者を探せます。遠くに住んでいて対面で相談に行けない時は、WEBや電話で相談できるセンターに絞り込むのが近道です。
答えによって、次の一手が変わります。

- 探したい地域に提携している施設がない → 別の紹介センターに聞く(届出紹介事業者検索で、入居を希望する都道府県から探せる)
- 提携している施設が少ない → ケアマネジャーに伝え、紹介センター以外の探し方も並行する
- 提携している施設が多い → 手順②の情報をもとに、候補を絞ってもらう
現場のひとこと
どの紹介センターにお願いするかで、紹介できる施設は違います。提携している施設の紹介になるためです。
聞くのは失礼なことではありません。最初に聞いておくほうが、ご家族も紹介センターも動きやすくなります。
手順④:見学で、自分の目で確かめる

候補が出たら、見学に行きます。紹介センターが段取りや同行をしてくれることもありますが、決めるのは家族と本人です。パンフレットと説明だけで決めずに、自分の目で確かめてください。
遠くに住んでいて何度も行けない時は、1回の見学で見る施設をまとめて回れるように、段取りを紹介センターに相談してみませんか。どこまで動いてもらえるかは、最初に聞いておくと安心です。
見学や問い合わせの時に「空いていますか」以外に何を聞くかは、こちらにまとめています。
▶ 施設に「空き」があるのに入れないのはなぜ?見学・問い合わせで聞く3つ|「空いていますか」の代わりに聞く質問を現役の社会福祉士が整理
【PR】紹介センターの一例:いい介護
【PR】この枠は広告です。
紹介センターの一例として、老人ホーム検索サービス「いい介護」があります。入居相談員に条件を伝えて施設の候補を出してもらえる無料相談と、資料請求・見学予約のサポートがあります。運営会社の株式会社エイジプラスは、高住連の届出紹介事業者検索に掲載されています(2026年10月時点)。
使う時は、この記事の手順どおりに進めてください。
- 先に担当ケアマネジャーに相談しておく(手順①)
- 手順②の5つの情報をメモにして渡す
- 「探したい地域で提携している施設はありますか」「いくつくらいですか」を最初に聞く(手順③)
提携範囲を確認してから、ほかの紹介センターや、ケアマネジャーとの探し方と並べて考えてください。
よくある質問

Q. 本当に、家族はお金を払わなくていい?
紹介センターの紹介料は、契約が成立した時に施設側から入る仕組みです。そのため、利用者側は無料で相談できます。ただし、施設に入居したあとの費用(家賃や介護の費用)は、当然ながら家族や本人が払います。相談の最初に「こちらに費用がかかることはありますか」と聞いておくと安心です。
Q. 親にケアマネジャーがいない時は、どこに相談する?
親の住む地域の地域包括支援センターに相談できます。入院中なら、病院の相談員(医療ソーシャルワーカー)も相談先の1つです。離れて暮らす親の地域の窓口とつながる方法は、こちらに書いています。
▶ 離れて暮らす親の見守り、最初の一手はカメラじゃない。地域包括支援センターに電話して「顔を覚えてもらう」順番
Q. 紹介センターに、何を聞かれる?
聞かれる内容はセンターによって違います。手順②の5つ(本人の状態・趣味や楽しみ・家族の希望・予算・生活保護の有無)を先にまとめておけば、答えに詰まることは減ります。ケアマネジャーから伝えてもらう場合も、家族の希望と予算は家族が一番よく知っています。
Q. 複数の紹介センターに頼んでもいい?
頼むこと自体はできます。紹介センターごとに提携している施設が違うので、別のセンターに聞くと別の候補が出ることがあります。同じ施設を複数のセンターから紹介されることもあるので、「どの施設を、どのセンターから紹介されたか」をメモに残しておくと、あとで混乱しません。
Q. 生活保護を受けていても、紹介センターは使える?
紹介できる施設があるかどうかは、センターと提携先によります。最初に生活保護を受けていることを伝えて、紹介できる施設があるかを聞いてください。生活保護の担当ケースワーカーへの相談も一緒に進めます(手順②のリンク先に詳しく書いています)。
まとめ:無料の仕組みを知って、頼み方で選択肢を広げる

要点は5つです。
- 紹介センターは、土地勘のない地域で施設を探す時の大きな助けになる。候補の提案・料金の説明・見学の段取りや同行まで動いてくれることがある
- 無料なのは、契約が成立した時に施設側から紹介料が入るから。紹介手数料は家賃の1〜2か月相当とする事業者が約半数(国の検討会資料)
- 紹介されるのは提携している施設。どこに頼むかで、紹介される施設が変わる
- 使う前にケアマネジャーに相談し、本人の情報を5つ渡す(状態・趣味や楽しみ・家族の希望・予算・生活保護の有無)
- 提携範囲と提携数を聞いてから候補を出してもらい、見学で自分の目で確かめる
次の3つに当てはまるなら、紹介センターは頼りになる選択肢です。
- 親の施設を、土地勘のない地域で探すことになった
- 遠くに住んでいて、見学の段取りを自分だけで組むのが難しい
- 担当ケアマネジャーに相談でき、本人の情報を渡せる
今日できることは1つ。手順②の5つの情報を、メモに書き出してみてください。予算は1つの数字で、趣味や楽しみは思いつくだけ。そのメモを持って、担当ケアマネジャーに「施設を探すことになりました」と電話してみませんか。
この記事を書いた人
むむぶどう🍇
社会福祉士・ケアマネジャー。社会福祉士として福祉の現場に20年、介護施設・在宅サービスでご本人とご家族の支援に関わってきました。福祉の制度を「使える形」にして届けたい、と思って発信しています。
▶ note(現場のリアル・体験談):https://note.com/mumubudou
▶ X(毎朝のつぶやき・現場の小ネタ):https://x.com/mumubudo
ブログでは「制度の使い方」を、noteでは「現場のリアル」を、Xでは「今日の気づき」を発信しています。
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参考資料
- 厚生労働省「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会 とりまとめ」(令和7年11月5日) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001592426.pdf
- 高齢者住まい事業者団体連合会「紹介事業者届出公表制度」 https://koujuren.jp/todokede/
- 高齢者住まい事業者団体連合会「届出紹介事業者検索」 https://koujuren.jp/search.php
※紹介センターの業務内容(見学の同行など)や提携している施設は、事業者ごとに異なります。この記事の体験は筆者が関わった1つのケースで、すべての紹介センターに当てはまるものではありません。


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