特養・老健・有料老人ホームの違い完全ガイド|現役の社会福祉士が選び方を解説

施設選びガイド

「特養・老健・有料老人ホーム。名前は聞くけど、結局どこがどう違うんですか」

「とにかく費用を抑えたい。で、いくら違うんですか」

親の施設を探し始めたご家族から、この2つはほぼ毎週聞きます。そして、たいていの方が検索の途中で手が止まります。月8万円と書いてあるサイトもあれば、月30万円と書いてあるサイトもあるからです。

先に結論を書きます。3つの施設は「値段の高い・安い」で並んでいるのではなく、そもそも「目的」が違います。 そして費用の差の正体は施設の種類ではなく、「所得段階」と「部屋のタイプ」の掛け算です。同じ特養でも、条件が違えば月8万円以上ひらきます。

私は社会福祉士として福祉の現場に20年、今は現役のケアマネジャーとして働いています。老健で入所を受け入れる側にいたことも、病院で退院先を一緒に探す側にいたことも、地域包括支援センターで「まだ在宅で行けませんか」と相談を受ける側にいたこともあります。送り出す側と受け入れる側、両方から施設を見てきた立場で書きます。

この記事では、特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)・有料老人ホームの3つを、目的・費用・入りやすさ・医療と看取りの対応で比較します。費用は2026年(令和8年)8月1日に変わったばかりの最新値で計算しました。

※本記事にはプロモーションを含みます。

この記事の費用について

金額は公的資料に基づく目安です。実際の負担額は、所得段階・要介護度・部屋のタイプ・地域区分・施設ごとの加算・自己負担割合(1〜3割)によって変わります。最終的な金額は必ず入居候補の施設、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口、担当のケアマネジャーにご確認ください。

  1. まず結論|違いは「目的」、費用の差は「所得段階×部屋タイプ」
  2. 一目でわかる比較表|特養・老健・有料老人ホームの違い
  3. 2つずつ比べると、違いはもっとはっきりする
    1. 特養と有料老人ホームの違いは?|「待つ代わりに安い」か「すぐ入れる代わりに幅がある」か
    2. 特養と老健の違いは?|「終のすみか」か「帰るための通過点」か
    3. 老健と有料老人ホームの違いは?|「医療とリハビリ」か「暮らしのサービス」か
  4. 特養・老健・有料の費用はいくら違う?|2026年8月の最新値で計算する
    1. 2026年8月に何が変わった?|食費が1日100円上がった
    2. 費用は4つの部品に分解すると比べられる
    3. 【一覧】2026年8月1日からの食費・居住費(1日あたり)
    4. 所得段階はどう決まる?|見るのは「世帯の課税」と「預貯金」
    5. 特養の費用はいくら?|減額なし・ユニット型個室で月14万〜15万円
    6. 特養の費用はいくら?|第2段階・多床室なら月6万円台まで下がる
    7. 老健の費用はいくら?|2025年8月から多床室に「室料」が加わった
    8. 有料老人ホームの費用はいくら?|類型でまったく違う
    9. 結局どこが一番安い?|答えは「所得段階による」
  5. 費用が払えないかもしれない|先に確認する4つの制度
    1. 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度とは?
    2. 負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)とは?
    3. 高額介護サービス費とは?
    4. 有料老人ホームは対象外|低所得なら特養を軸に
  6. 特養はまだ入りにくい?|申込者は3年で18%減っています
    1. 最新調査では申込者20.6万人|3年前より4.7万人減った
    2. それでも「先着順ではない」という仕組みは変わらない
    3. 要介護1・2でも入れる?|特例入所という仕組み
    4. 早く入るための4つの動き方
  7. 終身で住める?医療と看取りはどこまで対応する?
    1. 3類型の看取り対応はこう違う
    2. 契約前に必ず聞く5つの質問
    3. 見学で見るべきは「いちばん重い人」
  8. サ高住・グループホーム・介護医療院との違いも押さえておく
    1. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは
    2. グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは
    3. 介護医療院とは
  9. こういう人はどの施設?|状態別の選び方フロー
  10. 申し込みから入居までの流れ
    1. 6つのステップ
    2. 施設紹介サービスを使うときに確認する3つのこと
    3. 主な相談先
  11. よくある質問
    1. 特養と有料老人ホーム、結局どちらが安いですか?
    2. 特養と老健は同時に申し込めますか?
    3. 老健にはどれくらいいられますか?
    4. 要介護1でも特養に申し込めますか?
    5. 有料老人ホームの入居一時金は返ってきますか?
    6. 施設に入ったら住民票は移しますか?
    7. 費用は今後も上がりますか?
  12. まとめ|施設選びで後悔しないための3つ
  13. 参考・出典
    1. この記事を書いた人

まず結論|違いは「目的」、費用の差は「所得段階×部屋タイプ」

細かい比較の前に、いちばん持ち帰ってほしい2行から書きます。

1行目:3つは目的が違う。

  • 特別養護老人ホーム(特養)=介護が重くなった人が終身で暮らす「生活の場」。費用は抑えめで、申し込んで待つのが基本
  • 介護老人保健施設(老健)=自宅に帰るためにリハビリをする「通過点」。医師が常勤し、原則は一時的な利用
  • 有料老人ホーム=民間が手がける「住まい+サービス」。待たずに入れるが、費用も中身も施設ごとの差が大きい

ひとことにすると、「安く終身なら特養」「退院後にリハビリなら老健」「すぐ入れて手厚くなら有料」です。

2行目:費用は施設の種類より、所得段階と部屋タイプで決まる。

特養に入っても、住民税が課税されている世帯の方がユニット型個室に入れば月15万円近くかかります。一方、住民税非課税で所得が少ない方が多床室に入れば月6万円台まで下がることがあります。同じ「特養」で、月8万円以上の差です。

だから、施設を回り始める前にやることは見学の予約ではありません。自分の家族がどの所得段階にあたるかを確認することです。

現場のひとこと

相談でいちばん多いのが「特養と有料、どっちが上ですか」という質問です。上下ではなく役割が違うだけ。上下で考えると、本人の状態に合わない施設に入って数か月で行き詰まります。

一目でわかる比較表|特養・老健・有料老人ホームの違い

まず全体像を並べます。数字は全国的な目安で、地域と施設によって上下します。

比較軸特別養護老人ホーム(特養)介護老人保健施設(老健)有料老人ホーム
目的終身で暮らす生活の場自宅に帰るためのリハビリ住まい+サービス
法律上の位置づけ介護保険施設(介護老人福祉施設)介護保険施設老人福祉法上の有料老人ホーム
主な設置主体社会福祉法人・自治体など医療法人など主に民間企業
入居対象原則 要介護3以上(要介護1・2は特例入所)要介護1以上・病状が安定期自立〜要介護まで施設による
初期費用原則なし原則なし0円〜数百万円(前払い方式の場合)
月額の目安約6万〜15万円(段階と部屋で大きく変動)約10万〜15万円前後類型により幅が大きい(後述)
入居期間終身(看取りまで対応する施設が多い)原則3〜6か月ごとに在宅復帰を判定終身も可。施設により差が大きい
医療・看取り看取り対応が広がっている医師常勤で医療対応に強い施設ごとの差がもっとも大きい
入りやすさ待機あり。ただし申込者は減少傾向比較的入りやすいすぐ入れることが多い
申込先各施設へ直接(複数可)各施設・病院の地域連携室各施設・紹介事業者
負担限度額認定対象対象対象外

表の最後の行が、費用を考えるうえでいちばん効きます。食費と居住費を軽くする「負担限度額認定」が使えるのは、特養・老健などの介護保険施設だけです。有料老人ホームは対象外になります。

現場のひとこと

この表を印刷して、見学のときに「うちの場合はいくらですか」と各欄を埋めていく使い方をおすすめしています。パンフレットの月額だけを見比べても、決め手にはなりません。

2つずつ比べると、違いはもっとはっきりする

3つ同時に比べると頭に入りにくいので、2つずつ並べます。相談でよく聞かれる組み合わせの順です。

特養と有料老人ホームの違いは?|「待つ代わりに安い」か「すぐ入れる代わりに幅がある」か

もっとも多い質問です。差が出るのは次の3点です。

1. 入居までの時間:特養は申し込んで順番を待ちます。有料は空きがあれば数週間で入れることも珍しくありません

2. 費用の決まり方:特養は公定の基準(食費・居住費)に沿い、所得が低ければ減額されます。有料は施設が決めた家賃・管理費・食費で、減額の仕組みは基本的にありません

3. 選べる幅:特養は「入れた施設に入る」に近く、有料は立地・食事・雰囲気・医療対応で選べます

所得が低い方にとっては、特養と有料の差は今も大きいままです。 逆に、住民税が課税されている世帯でユニット型個室に入る場合、特養と有料の月額差は思ったより縮まります。

特養と老健の違いは?|「終のすみか」か「帰るための通過点」か

もっとも誤解が多い組み合わせです。老健を「安い特養」「特養の空き待ち場所」だと思って入ると、あとで慌てます。

  • 特養:生活の場。入所後に退所を求められるのは、医療の必要度が上がって施設で対応しきれなくなった場合などに限られる
  • 老健:在宅復帰を目指す施設。原則3〜6か月ごとに在宅に戻れるかを検討し、状態が改善すれば退所を相談される

もう一点、地味に効く違いがあります。老健は医師が常勤するため、入所中の医療は原則として施設側でまかなう扱いです。外部の医療機関に自由にかかる、という動き方は特養とは異なります。持病で通院中の方は、その病院を続けられるか事前に確認してください。

老健と有料老人ホームの違いは?|「医療とリハビリ」か「暮らしのサービス」か

退院直後のご家族が迷う組み合わせです。判断の軸は「今いちばん必要なものは何か」に尽きます。

  • リハビリで歩行や食事の力を戻したい、医療的な管理が続いている → 老健
  • 医療は落ち着いた。生活の場として長く住める場所がほしい → 有料老人ホーム

老健を選んで在宅復帰し、しばらく在宅で暮らしてから改めて施設を検討する。この順番が結果的にいちばん選択肢を残せる、というケースを何度も見てきました。

現場のひとこと

「とりあえず老健に入れておいて、その間に特養を探します」という相談は本当に多いです。方針としては間違っていません。ただ、老健の在宅復帰の判定と特養の順番は連動しません。老健の期限が先に来る前提で、次の手を並行して用意しておいてください。

特養・老健・有料の費用はいくら違う?|2026年8月の最新値で計算する

ここが本題です。検索で「特養 老健 違い 費用」とたどり着いた方は、ここから読んでください。

まず押さえるべき前提があります。2026年(令和8年)8月1日から、介護保険施設の食費と、一部の居住費の負担限度額が変わりました。

2026年8月に何が変わった?|食費が1日100円上がった

令和8年度の介護報酬改定は、改定率が+2.03%でした。その内訳のひとつが「食費の基準費用額の引上げ +0.09%(令和8年8月施行)」です。金額にすると、1日あたり100円の引上げ(厚生労働省・社会保障審議会介護給付費分科会 第252回資料1)。

1日100円は、30日で3,000円。年間では3万6,000円です。すでに施設に入っている方も対象になります。

低所得の方への配慮も同時に入りました。

  • 利用者負担第1段階・第2段階の方は、食費の負担限度額を据え置き(負担は増えない)
  • 第3段階①は1日30円、第3段階②は1日60円の引上げ

あわせて、居住費の負担限度額も第3段階②を中心に見直されています(介護保険最新情報Vol.1481/令和8年3月13日通知、令和8年8月1日施行)。

費用は4つの部品に分解すると比べられる

施設の費用は、次の4つの合計です。ここを分けずに「月いくら」だけ見比べても、比較になりません。

1. 介護サービス費の自己負担(1〜3割。要介護度と施設の加算で変わる)

2. 食費

3. 居住費(部屋代)

4. 日常生活費(日用品・理美容代・レクリエーション費など。施設で扱いが違う)

なお、特養・老健・介護医療院では、おむつ代は施設サービス費に含まれており、別途請求することはできません(老企第54号)。おむつ代が実費でかかるのは、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・在宅サービスのほうです。請求書に「おむつ代」の行がある特養は、市区町村の介護保険窓口に確認してください。

このうち②食費と③居住費だけは、金額が公的に決まっています。だから比較の起点にできます。

【一覧】2026年8月1日からの食費・居住費(1日あたり)

介護保険施設(特養・老健・介護医療院)とショートステイが対象です。第4段階は減額なしの人(世帯に住民税課税者がいる方など)が支払う額にあたります。

区分減額なし(基準費用額)第1段階第2段階第3段階①第3段階②
食費1,545円300円390円680円1,420円
ユニット型個室2,066円880円880円1,370円1,470円
ユニット型個室的多床室1,728円550円550円1,370円1,470円
従来型個室(特養など)1,231円380円480円880円980円
従来型個室(老健・介護医療院など)1,728円550円550円1,370円1,470円
多床室(特養など)915円0円430円430円530円
多床室(老健・介護医療院/室料を徴収する場合)697円0円430円430円530円
多床室(老健・介護医療院など/室料を徴収しない場合)437円0円430円430円430円

出典:厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1481」(令和8年3月13日)/同 介護給付費分科会 第249回資料3「基準費用額」

この表の1行目と最終行を見比べてください。 食費は1日1,545円の人と300円の人がいます。ユニット型個室の居住費は1日2,066円の人と880円の人がいます。施設の種類ではなく、この段階が費用を決めています。

所得段階はどう決まる?|見るのは「世帯の課税」と「預貯金」

段階は、市区町村が次の2つで判定します(令和8年8月1日からの基準)。

  • 第1段階:生活保護受給者/世帯全員が住民税非課税の老齢福祉年金受給者(預貯金 単身1,000万円・夫婦2,000万円以下)
  • 第2段階:世帯全員が住民税非課税で、年金収入+合計所得が82.65万円以下(預貯金 単身650万円・夫婦1,650万円以下)
  • 第3段階①:同じく非課税で、82.65万円超〜120万円以下(単身550万円・夫婦1,550万円以下)
  • 第3段階②:同じく非課税で、120万円超(単身500万円・夫婦1,500万円以下)
  • 第4段階:世帯に住民税課税者がいる/本人が住民税課税

注意点を3つ。世帯を分けている配偶者も判定に含まれます。 そして預貯金額の要件があります。「年金だけだから該当するはず」と思っていて、預貯金で第4段階になる方は現場でも珍しくありません。もう1つ、遺族年金や障害年金のような、税金がかからない年金も収入に含めて判定します。「非課税の年金だから関係ない」は間違いです。

特養の費用はいくら?|減額なし・ユニット型個室で月14万〜15万円

具体的に組み立てます。国の「介護サービス情報公表システム」が公表している特養の自己負担例(要介護5・1割負担・減額なし・30日換算)が土台です。そこから食費だけを、2026年8月の新しい額に置き換えました。

ユニット型個室の場合

  • 施設サービス費(1割):約28,650円
  • 居住費:約61,980円
  • 食費:約46,350円
  • 日常生活費:約10,000円
  • 合計:約147,000円

多床室の場合

  • 施設サービス費(1割):約26,130円
  • 居住費:約27,450円
  • 食費:約46,350円
  • 日常生活費:約10,000円
  • 合計:約110,000円

同じ特養で、部屋のタイプだけで月3万7,000円ほど違います。要介護3の方はここから施設サービス費が数千円下がるイメージで見てください。

特養の費用はいくら?|第2段階・多床室なら月6万円台まで下がる

同じ多床室でも、第2段階に該当する方は次のようになります。

  • 施設サービス費(1割):約26,130円
  • 居住費:430円×30日=約12,900円
  • 食費:390円×30日=約11,700円
  • 日常生活費:約10,000円
  • 合計:約61,000円

減額なし・ユニット型個室の約14万7,000円と、第2段階・多床室の約6万1,000円。差は月8万6,000円です。 どちらも同じ「特養」の費用です。

※この施設サービス費は、公表システムが示す基本部分だけの金額です。実際は処遇改善加算などが上乗せされ、月に数千円〜1万円ほど高くなります。都市部では1単位あたりの単価も上がります。見学時は必ず「加算を含めた総額」で聞いてください。

「特養は安い」という言葉は、この後者を指しています。前者を指してはいません。この誤差が、施設探しの最初のつまずきになります。ここは別記事で詳しく整理しました。

「特養は安い」は本当?減免が効かないと月15万円弱

老健の費用はいくら?|2025年8月から多床室に「室料」が加わった

老健は見落とされがちな変更があります。2025年(令和7年)8月から、一部の老健・介護医療院の多床室に室料負担が加わりました。

対象と内容は次のとおりです(厚生労働省・介護給付費分科会 第237回資料1)。

  • 対象:「その他型」「療養型」の介護老人保健施設と、Ⅱ型介護医療院の多床室。いずれも1人あたり8㎡以上の部屋に限る
  • 金額:月額8,000円相当
  • 配慮:利用者負担第1〜第3段階の方は、補足給付により負担が増えないようにされている

これに伴い、居住費の基準費用額は多床室で1日437円と697円の2本立てになりました。同じ「老健の多床室」でも、施設の型によって月8,000円ほど違うということです。見学のときは「この部屋は室料の対象ですか」と一言聞いてください。

月額のイメージは、上の一覧表を使えば自分で組み立てられます。減額なしの方が老健の従来型個室に入る場合、居住費だけで1日1,728円(30日で約51,800円)です。食費と合わせると月約9万8,000円。ここに施設サービス費と日常生活費が乗ります。

なお、老健の施設サービス費は、その施設の型(超強化型・在宅強化型・加算型・基本型・その他型)と加算の組み合わせで変わります。正確な金額は施設ごとに見積もりを出してもらうのがいちばん早いです。 見学時に「うちの要介護度で、月の総額はいくらになりますか」と聞けば、たいていの施設が概算を出してくれます。

有料老人ホームの費用はいくら?|類型でまったく違う

有料老人ホームは「幅が広い」で終わらせず、類型で分けて見てください。国の検討会がまとめた、月額費用でもっとも多い価格帯は次のとおりです。

  • 特定施設(介護付有料老人ホームなど):「30万円以上」がもっとも多い
  • 住宅型有料老人ホーム:「10万円未満」がもっとも多い
  • サービス付き高齢者向け住宅(非特定施設):「12〜14万円」がもっとも多い
  • この傾向は、この10年間続いている

出典:厚生労働省「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会 とりまとめ」(令和7年11月5日)

住宅型が「10万円未満」と聞くと安く見えます。ここが有料老人ホームでいちばん誤解される点です。 住宅型の月額は家賃・管理費・食費などで、介護サービスの費用は外付け(別料金)になります。訪問介護やデイサービスを使えば、その自己負担が上乗せされます。介護が重くなるほど総額は増えます。

一方、介護付(特定施設)は介護サービス費が月額に組み込まれているため、表示額が高く見えます。同じ土俵で比べるには、「介護費を含んだ総額」に揃える必要があります。

入居一時金についても、実態は変わってきています。同じとりまとめによると、家賃の支払い方式は現在「全額月払い」が約8割。住宅型有料・サ高住では9割以上が全額月払いです。一部前払い・全額前払いが残るのは主に特定施設で、それぞれ3割・2割程度とされています。

前払い金を納める場合は、保全措置がとられているかを必ず確認してください。 老人福祉法第29条第9項で義務づけられていますが、令和6年6月時点で保全措置を行っていない有料老人ホームが1%程度あったと同資料は報告しています。

結局どこが一番安い?|答えは「所得段階による」

正直に答えます。

  • 第1・第2段階の方(非課税で年金収入等が少ない) → 特養の多床室で月4万5,000円〜6万円台
  • 第3段階①の方 → 同じ多床室で月7万円前後
  • 第3段階②の方(非課税でも年金収入等が120万円を超える) → 同じ多床室で月9万円台。2026年8月の改正で、この段階の負担がいちばん上がりました

「非課税なら安い」ではなく、非課税の中でも4段階に分かれます。

  • 世帯に住民税課税者がいる方 → 特養の優位性は縮まる。ユニット型個室なら月14万〜15万円で、有料老人ホームと重なる価格帯に入る
  • 住宅型有料を検討する方 → 表示された月額に、介護サービスの自己負担を必ず足して比べる

だから施設探しの最初の一手は、見学の予約ではありません。市区町村の介護保険窓口か担当ケアマネに「うちは負担限度額認定の何段階になりそうですか」と聞くことです。ここが決まれば、見るべき施設の種類が半分に絞れます。

現場のひとこと

有料老人ホームで「月額9万円」と書いてあっても、おむつ代・通院の交通費・日用品で実際は月12万円だった、ということはよくあります。特養・老健はおむつ代を請求できない決まりですが、有料老人ホームやサ高住は実費です。 見学時の質問はひとつでいい。「全部込みで、毎月いくら請求が来ますか」です。

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費用が払えないかもしれない|先に確認する4つの制度

「年金だけで入れるでしょうか」という相談には、制度の確認から入ります。使えるのに使っていない方が本当に多い制度です。

社会福祉法人等による利用者負担軽減制度とは?

社会福祉法人が運営する特養などを利用する低所得の方について、介護サービス費・食費・居住費を原則4分の1(生活保護を受けている方は個室の居住費を全額)軽減する制度です。負担限度額認定と併用できます

実施するかどうかは市区町村と法人の判断なので、地域や施設によって扱いが違います。申請先は市区町村の介護保険担当窓口です。負担限度額認定を申請するときに「社会福祉法人の軽減も対象になりますか」と一緒に聞いてください。 窓口から先に案内されないことがあります。

負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)とは?

特養・老健・介護医療院・ショートステイの食費と居住費に、所得に応じた上限を設ける制度です。上限を超えた分は介護保険から施設に支払われます。上限額は、この記事の一覧表の第1段階〜第3段階②の欄です。

申請先はお住まいの市区町村の介護保険担当窓口。申請には預貯金額がわかる書類などが必要です。認定には有効期間があるため、更新の手続きも忘れないでください。

高額介護サービス費とは?

1か月に支払った介護サービスの自己負担が上限を超えたとき、超えた分が後から払い戻される制度です。施設に入っていても対象になります。食費・居住費・日常生活費は対象外なので、そこは戻りません。

高額介護サービス費とは|上限を超えた介護費が戻る制度を解説

有料老人ホームは対象外|低所得なら特養を軸に

繰り返しになりますが、負担限度額認定は介護保険施設が対象で、有料老人ホームやサ高住は対象になりません。費用を抑えることが最優先なら、特養を軸に組み立てるのが現実的です。

生活保護を受けている方の施設探しは、動き方の順番が変わります。手順は別記事にまとめました。

生活保護でも入れる老人ホームの探し方|現場でやっている手順

現場のひとこと

「施設は高いから無理です」と最初から諦めていたご家族が、窓口で段階を確認したら第2段階だった、ということが実際にあります。諦める前に、まず窓口かケアマネに一本電話を入れてください。

特養はまだ入りにくい?|申込者は3年で18%減っています

ここ数年で明確に変わった部分です。数字で確認します。

最新調査では申込者20.6万人|3年前より4.7万人減った

厚生労働省が令和7年12月に公表した「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和7年度)」によると、2025年4月1日時点の入所申込者は次のとおりです。

  • 要介護3以上:20.6万人(前回2022年度調査は25.3万人/▲18.4%
  • うち在宅で待っている方:8.6万人(前回10.6万人/▲18.5%)
  • 要介護1・2(特例入所の対象):1.8万人(前回2.2万人/▲17.9%)

3年で約2割減りました。 有料老人ホームやサ高住がこの10年で約1.8倍に増え、選択肢が分散したことが背景にあります。「特養は何年待ち」という一昔前のイメージのままだと、判断を誤ります。

ただし、これは全国の合計です。地域差は大きく、同じ調査でも、要介護3以上の認定者に占める申込者の割合は山梨県の21.3%から愛知県の4.4%まで開きがあります(全国平均8.6%/令和7年度調査 参考3)。「都会は待つ、地方は空いている」という単純な図式ではありません。 お住まいの地域の実際の待機状況は、担当ケアマネジャーか地域包括支援センターがいちばん正確に知っています。

それでも「先着順ではない」という仕組みは変わらない

申込者が減っても、入所の判定方法は変わっていません。特養は申し込んだ順ではなく、必要度の高い人から入ります。 要介護度、在宅介護の限界度合い、介護する家族の状況などを施設の入所検討委員会が評価します。

つまり、「早く申し込んだから早く入れる」わけではありません。「今いちばん困っている」ことが伝わっているかどうかが効きます。

要介護1・2でも入れる?|特例入所という仕組み

入れる場合があります。2015年4月から、特養の入所は原則要介護3以上になりました。ただし同時に、要介護1・2の方でも「やむを得ない事情」があれば特例的に入所できる仕組みが設けられています(特例入所)。

国の指針が示す判断材料は4つです。

1. 認知症により、日常生活に支障をきたす症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難

2. 知的障害・精神障害等を伴い、同様の状態で在宅生活が困難

3. 家族等による深刻な虐待が疑われるなどにより、心身の安全・安心の確保が困難

4. 単身世帯、同居家族が高齢または病弱などで家族の支援が期待できず、かつ地域の介護サービスや生活支援の供給が十分でないため在宅生活が困難

手続きにも決まりがあります。要介護1・2の方が申し込むときは、入所申込書に「特例入所の要件に該当し、在宅での生活が著しく困難な理由」を付記します。施設は入所検討委員会を開く前に市町村に報告し、市町村が意見を述べられる仕組みです。

要介護1・2だから門前払い、ではありません。当てはまりそうなら、担当ケアマネジャーに「特例入所で申し込めませんか」と相談してください。

早く入るための4つの動き方

1. 複数の特養に同時に申し込む(1か所だけだと機会が限られる。複数申込は失礼ではなく、むしろ標準)

2. 在宅の状況をありのまま伝える(無理をして「なんとかやれています」と言わない)

3. 担当ケアマネジャーに状況を共有する(緊急性の判断材料が施設に届く)

4. 待つ間はショートステイや老健、デイサービスの増回で在宅を支える

現場のひとこと

「迷惑をかけたくないので1か所だけにしました」というご家族がいます。気持ちはわかりますが、複数申し込みは普通のことです。それより、家族が限界に近いことを控えめに伝えてしまうほうが、結果的に順番を遠ざけます。

終身で住める?医療と看取りはどこまで対応する?

施設選びで、費用の次に大事な視点です。ここを聞かずに契約すると、数年後に住み替えを迫られます。

3類型の看取り対応はこう違う

  • 特養:終身利用が基本。看取りに対応する施設が増えている
  • 老健:原則は一時的な利用で、終身を前提とした施設ではない。ただし医師常勤で医療対応には強い
  • 有料老人ホーム:施設ごとの差がもっとも大きい。看取りを掲げる施設もあれば、医療の必要度が上がると退去になる施設もある

参考になる数字があります。前出の厚生労働省の検討会とりまとめによると、2024年の退去理由でもっとも多いのは死亡で、その割合は特定施設59%、住宅型有料老人ホーム55%、サ高住43%。10年前より増えています。有料老人ホームやサ高住が、実際に最期を迎える場所になってきているということです。

一方で、一定の医療処置を必要とする入居者の割合(1施設あたり平均)は、特定施設11.1%、住宅型有料10.3%、サ高住6.5%に対し、特養は15.8%。医療的な処置が続く方の受け皿としては、特養が一定の役割を担っていることがわかります。

契約前に必ず聞く5つの質問

見学と契約の前に、この5つを聞いてください。答えを書きとめておくと、後で家族間の説明に使えます。

1. どういう状態になったら退去をお願いされますか(退去要件の具体例で聞く)

2. たんの吸引・胃ろう・インスリン注射・在宅酸素は、どこまで対応できますか

3. 看取りまで対応した実績は、直近1年で何件ありますか

4. 夜間はどんな職員体制ですか。看護職員はいますか。オンコールですか

5. 協力医療機関はどこで、入院が必要になったときの流れはどうなりますか

6. 身元保証人(身元引受人)は必要ですか。いない場合はどうなりますか(頼める人がいない場合、成年後見制度や保証会社の利用でどう対応しているかまで聞く)

見学で見るべきは「いちばん重い人」

見学では、レクリエーションをしている元気な入居者の様子が目に入ります。けれど、その施設の実力が表れるのはそこではありません。

いちばん介護度が重い方が、どんな表情でどこにいるか。 居室に寝たきりで放置されていないか、日中フロアに出て人の輪の中にいるか。ここを見ると、パンフレットに書いていないことが見えます。

現場のひとこと

「ずっといられると思っていたのに、退去と言われた」という相談は今も定期的に受けます。多くは契約時に退去要件を確認していないケースです。元気なうちに「重くなったらどうなりますか」を聞くのは、失礼でもなんでもありません。

サ高住・グループホーム・介護医療院との違いも押さえておく

3類型のほかに候補に挙がる住まいです。混同しやすいので、性格の違いだけ押さえてください。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは

バリアフリーの賃貸住宅です。基本のサービスは安否確認と生活相談。介護が必要なら、外部の訪問介護やデイサービスを別に契約して使います。

自由度が高い反面、介護が重くなると住み続けにくくなる場合があります。月額費用は「12〜14万円」の価格帯がもっとも多いとされますが、ここに介護サービスの自己負担が乗ることを忘れないでください。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは

認知症の診断がある方が、少人数で共同生活を送る住まいです。1ユニットは9人までで、なじみの職員と家庭的な環境で暮らせるのが特徴。地域密着型サービスなので、原則としてその市区町村に住む方が対象になります。

「認知症はあるけれど、体は元気で歩ける」という方に向きます。逆に、身体介護が中心になるとグループホームでは対応しきれなくなることがあります。

介護医療院とは

医療的なケアと生活の場を兼ねた介護保険施設です。長期の療養が必要で、たんの吸引や経管栄養などの医療的処置が続く方が対象になります。負担限度額認定の対象施設でもあります。

老健と迷ったときの目安は、「在宅復帰を目指せる段階か」「長期の医療管理が前提か」です。

現場のひとこと

「親は認知症だけど体は元気」という場合、特養や有料より先にグループホームを見てもらうことがあります。逆に、身体介護が主になっている方にグループホームを勧めることはまずありません。同じ「認知症」でも、体の状態で答えが変わります。

こういう人はどの施設?|状態別の選び方フロー

ここまでを踏まえて、パターン別に整理します。あくまで出発点の目安で、最終的な判断は担当ケアマネジャーや施設と相談してください。

  • 介護が重い(要介護3以上)+費用を抑えたい+終身で特養(複数申し込んで待つ)
  • 住民税非課税で年金内に収めたい特養の多床室+負担限度額認定が第一候補
  • 退院後で、リハビリして自宅に帰りたい老健(医療・リハビリが手厚い)
  • すぐに入りたい+費用より手厚さ重視介護付有料老人ホームを中心に比較
  • 認知症はあるが体は元気グループホーム
  • まだ自立に近く、将来に備えて住み替えたいサ高住・住宅型有料老人ホーム
  • 医療的な処置が長く続く介護医療院または医療対応の強い施設

迷ったら、次の3つを紙に書き出してください。これだけで候補が半分になります。

1. 親の要介護度はいくつか

2. 毎月いくらまでなら出せるか(本人の年金+家族の負担額を分けて書く)

3. 在宅介護はいつまで続けられそうか(○月まで、と期限で書く)

3つ目が空欄のまま探し始めると、いつまでも決まりません。期限を先に決めるほうが、良い施設に出会えます。

現場のひとこと

正解はひとつではありません。私は「お金」「介護の重さ」「本人がどこで過ごしたいか」の3つを並べて、ご家族と一緒に順位をつけています。完璧な施設を探すより、「今のうちの状況に合う施設」を選ぶほうが、後悔は少ないです。

家族の間で意見が割れたまま探し始めると、いちばん消耗します。切り出し方と話の進め方は、別記事にまとめました。

親の施設入居、どう切り出す?|家族会議の進め方を手順で解説

家でも施設でも正解|介護の「本当の正解」を判断する基準

申し込みから入居までの流れ

最後に、実際の動き方を順番に並べます。

6つのステップ

1. 担当ケアマネジャー・地域包括支援センターに相談する(まずここ。状態に合う施設の種類を一緒に絞る)

2. 市区町村の窓口で負担限度額認定の見込みを確認する(見学より先。ここで予算感が決まる)

3. 候補施設を見学する(複数見て比べる。費用は「全部込み」で聞く)

4. 申し込む(特養は複数同時に。老健・有料は病院の地域連携室や紹介事業者経由も)

5. 面談・判定(特養は入所検討委員会で必要度を判定。有料は入居審査)

6. 契約・入居(契約書の「退去要件」「看取り対応」「前払い金の保全措置」を必ず確認)

順番で大事なのは2番です。見学の前に段階を確認する。 これだけで、見る施設が変わります。

施設紹介サービスを使うときに確認する3つのこと

有料老人ホームを探すとき、紹介事業者(施設紹介サービス)を使う方が都市部を中心に増えています。便利な仕組みですが、お金の流れを知ってから使ったほうがいいので、正直に書きます。

紹介事業者の収入は、原則として施設側から支払われる紹介手数料です。利用者が無料で相談できるのはこのためです。業界団体(高齢者住まい事業者団体連合会)が実施し、国の検討会に報告された実態調査では、紹介手数料の平均額は20万円台で、月額家賃の1〜2か月相当とする事業者が約半数だったと報告されています。一方で、がん末期や難病の方について家賃と比べて高額な手数料を設定していた事例も確認されました。

これを受けて厚生労働省は、有料老人ホームの設置運営標準指導指針を改正しました。「社会保障費の不適切な費消を助長するとの誤解を与えるような手数料の設定を行わないこと・応じないこと」と明記されています。

業界団体(高齢者住まい事業者団体連合会)の「高齢者向け住まい紹介事業者届出公表制度」も、行動指針が見直されました。届出済みの事業者は令和7年4月時点で629事業者です。

使うときは、この3つを確認してください。

1. 紹介手数料をどこから受け取っているか(施設側か、利用者側か)

2. 提携している施設だけを紹介していないか(提携外の施設も候補に入るか)

3. 紹介事業者届出公表制度に届け出ているか

そのうえで、担当ケアマネジャーや地域包括支援センターと必ず併用してください。 紹介事業者は地域の公的な空き情報までは持っていません。丸投げにせず、両方を使うのがいちばん確実です。

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いい介護は、条件を伝えると絞り込んだ施設候補を出してくれる老人ホーム検索サービスです。無料相談・資料請求まで対応。この記事で挙げた3つの確認事項(手数料の出どころ・提携外も候補に入るか・届出公表制度への登録)を、そのまま質問してみてください。

▶ 条件を伝えて施設候補を出してもらう(いい介護・無料相談)

ここまでの3つの確認事項を持ったうえでなら、紹介サービスは使いやすい道具になります。地域・空き状況・医療対応・費用の4つを同時に満たす施設を、一覧サイトから自力で拾い上げるのは現実的ではないからです。条件を伝えて候補を絞ってもらう無料の相談サービスもあるので、担当ケアマネジャーへの相談と並行して使うと、地域の公的な空き情報と条件の絞り込みを同時に進められます。

主な相談先

  • どの施設が合うか相談したい → 担当ケアマネジャー/地域包括支援センター
  • 費用の軽減を知りたい → 市区町村の介護保険担当窓口(負担限度額認定)
  • 退院後の行き先を決めたい → 入院先の地域連携室・医療ソーシャルワーカー
  • 施設の客観的な情報を見たい → 介護サービス情報公表システム(施設ごとの情報を検索できます)

現場のひとこと

施設選びは情報戦です。ひとりで検索し続けるのがいちばん時間を使います。ケアマネと地域包括は、パンフレットに載らない「実際の雰囲気」や「あの施設は今、空きが出やすい」まで知っています。使わない手はありません。

よくある質問

特養と有料老人ホーム、結局どちらが安いですか?

所得段階によります。 同じ非課税でも4段階に分かれ、特養の多床室で第1・第2段階なら月4万5,000円〜6万円台、第3段階①で月7万円前後、第3段階②では月9万円台です。世帯に住民税課税者がいる場合、特養のユニット型個室は月14万〜15万円で、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームと重なる価格帯になります。

特養と老健は同時に申し込めますか?

できます。申込先も判定の仕組みも別なので、並行して進めて問題ありません。老健は病院の地域連携室経由で話が進むことが多く、特養は各施設に直接申し込みます。

老健にはどれくらいいられますか?

原則3〜6か月ごとに、在宅に戻れるかを検討します。 期間があらかじめ何か月と決まっているわけではありませんが、「ずっといられる施設」ではありません。入所するときに「次の行き先を検討し始めるのはいつごろですか」と聞いておくと、慌てずに済みます。

要介護1でも特養に申し込めますか?

特例入所の要件に当てはまれば申し込めます。 認知症の症状で在宅生活が困難、虐待が疑われる、単身で地域のサービスも足りない、といった事情が判断材料になります。申込書に理由を付記する必要があるので、担当ケアマネジャーに相談してください。

有料老人ホームの入居一時金は返ってきますか?

契約内容によります。前払い金には老人福祉法第29条第9項で保全措置が義務づけられており、返還ルール(初期償却の割合・償却期間)も契約書に定められています。 契約前に「何年で償却されるか」「途中で退去したらいくら戻るか」を書面で確認してください。なお現在は全額月払いの施設が約8割で、前払い方式は主に介護付(特定施設)に残っています。

施設に入ったら住民票は移しますか?

移す場合があります。介護保険には住所地特例という仕組みがあり、対象となる施設に入って住民票を移しても、元の市区町村が引き続き保険者になることがあります。手続きは施設と市区町村で確認してください。

費用は今後も上がりますか?

上がる可能性はあります。 直近では2026年8月に食費の基準費用額が1日100円引き上げられました。国は「食事の提供または居住等に要する費用の状況が著しく変動したときは、速やかに改定しなければならない」と介護保険法で定めており、物価の状況によって見直されます。次の介護報酬改定は令和9年度に予定されています。

まとめ|施設選びで後悔しないための3つ

1. 3類型は「目的」が違う。 安く終身なら特養、退院後のリハビリなら老健、すぐ入って手厚くなら有料老人ホーム。上下ではなく役割の違いです

2. 費用の差の正体は「所得段階×部屋タイプ」。 同じ特養で月8万円以上ひらきます。見学より先に、市区町村の窓口で負担限度額認定の段階を確認してください

3. 「重くなったとき・看取りのとき」を契約前に聞く。 退去要件・医療対応・夜間体制の3点は、元気なうちに書面で確認しておきます

施設選びは、家族にとって大きな決断です。けれど、ひとりで完璧な答えを出す必要はありません。要介護度・予算・本人の希望の3つを書き出して、あとはケアマネジャーや地域包括支援センターと一緒に絞り込む。これがいちばん確実で、後悔の少ない進め方です。

迷ったら、まず担当のケアマネジャーか地域包括支援センターへ。動き出すのは、今日からで間に合います。

参考・出典

※本記事の金額は公的資料に基づく目安です。実際の負担額は、所得段階・要介護度・部屋のタイプ・地域区分・施設ごとの加算・自己負担割合により変わります。負担限度額認定の該当段階や地域の空き状況は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口・地域包括支援センターでご確認ください。

この記事を書いた人

むむぶどう🍇

社会福祉士・ケアマネジャー。社会福祉士として福祉の現場に20年、地域包括支援センター・老健・病院の相談業務を経て、現在は現役のケアマネジャーとして在宅の支援に関わっています。福祉の制度を「使える形」にして届けたい、と思って発信しています。

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