実家が物であふれ始めたら?親の片づけ、誰に頼む?家族・ヘルパー・不用品回収の3つの選び方|ケアマネジャーが整理

実家の片づけ、誰がやる?3つの選択肢 在宅介護のリアル

久しぶりに実家に帰ったら、床に物が置かれたままになっている。冷蔵庫を開けたら、賞味期限の切れた食品がいくつも出てきた。片づけたほうがいいのは分かるけれど、親にどう言えばいいか、誰に頼めばいいか迷っていませんか。

先に結論です。まず、親が「やりたくてもできない人」か「気にしていない人」かを見ます。 そのうえで、片づける人を家族/訪問介護の生活援助/自費の不用品回収の3つから選びます。

私は社会福祉士として福祉の現場に20年、現在は居宅介護支援事業所でケアマネジャーをしています。在宅の方のお宅に伺う中で見てきたサインと、片づけを頼む先を、手順の形でまとめました。

  1. 実家の物が増えてきた?気づきやすい3つのサイン
    1. ① 床や、空いているスペースに物が溜まっている
    2. ② 同じものが、たくさんある
    3. ③ 賞味期限切れのものが、増えていく
  2. 片づけを持ちかける前に、親はどちらのタイプ?
    1. 「やりたくても、できない」と思っていた人
    2. 何も気にしていない人
  3. 実家の片づけ、誰がやる?3つの選択肢
    1. ① 家族が片づける
    2. ② 介護保険の訪問介護(生活援助)で片づける
    3. ③ 自費のサービスで、不用品を回収してもらう
  4. ヘルパーの生活援助で、片づけはどこまで頼める?
    1. 頼めること
    2. 頼めないこと
    3. 同居の家族がいる時は、使えないこともある
  5. 物が多すぎる時は?自費の不用品回収を頼む前に見ること
    1. ① 許可を確認する
    2. ② 市区町村のルールで出せる物を先に分ける
    3. ③ 本人に、残す物を先に聞いておく
    4. ④ 見積もりは、作業の前にもらう
  6. 実家の片づけは、どんな順番で進める?
    1. ③ 相談する時の言い方
    2. ⑥ 一度で終わりにしない
  7. よくある質問(FAQ)
    1. Q. 親が「片づけなくていい」と言います。どうすればいい?
    2. Q. ヘルパーさんに、使っていない物を捨ててもらえますか?
    3. Q. 賞味期限切れが多いのは、認知症のサインですか?
    4. Q. 遠方に住んでいて、片づけに通えません
  8. まとめ:まず親のタイプを見て、片づける人を選ぶ
  9. この記事を書いた人
  10. 参考資料

実家の物が増えてきた?気づきやすい3つのサイン

床の端に紙袋や段ボールが置かれた実家の居間(人物なし)

物が増え始めた時に気づくところは、だいたい3つです。

① 床や、空いているスペースに物が溜まっている

通り道の床、テーブルの端、使っていない椅子の上。前は何もなかった場所に、物が置かれたままになっています。

床の物は、つまずきの原因にもなります。足元に何が置かれているか、帰省した時に見てみませんか。

② 同じものが、たくさんある

洗剤やティッシュ、同じ調味料、同じお菓子。棚や押し入れに、同じものがいくつも並んでいることがあります。

③ 賞味期限切れのものが、増えていく

冷蔵庫や食品棚に、期限の切れたものが少しずつ増えていきます。1つ2つではなく、「増えていく」のがサインです。

理由は人によって違います。物忘れが気になる場合も、そうでない場合もあります。このサインだけで何かを決めつけず、気になる時はケアマネジャーや地域包括支援センターに伝えてください。

現場のひとこと

気づくのは、床や空いているスペースに物が溜まっている時。同じものがたくさんある時。賞味期限切れのものが増えていく時です。

片づけを持ちかける前に、親はどちらのタイプ?

こたつをはさんで穏やかに話す子と親

片づけを提案した時の反応は、人によって違います。 大きく分けると2つのタイプがあります。

「やりたくても、できない」と思っていた人

本当は片づけたい。でも体がしんどい、どこから手をつければいいか分からない。そんな人に片づけを持ちかけると、「とても助かる」という反応が返ってきます。

このタイプの人には、手伝いの申し出そのものが助けになります。「一緒にやろうか」と声をかけてみませんか。

何も気にしていない人

物が多い状態を、本人は困っていない。このタイプの人は、きれいになっても、何も気にしないこともあります。

「せっかく片づけたのに」と、家族ががっかりすることもあるかもしれません。でも、それは本人の暮らし方です。片づけの目的を「きれいにすること」より、「床でつまずかない」「傷んだ食べ物を口にしない」に置くと、話がしやすくなります。

どちらのタイプか分からない時は、いきなり片づけ始めず、まず「最近、物が増えてきた?」と聞いてみてください。本人がなかなか本音を言わない時の聞き方は、こちらにまとめています。

▶ 親が「大丈夫」しか言わない|本音が出る5つの場面と、ケアマネへの伝え方

片づけを持ちかけた時の反応を、やりたくてもできないと思っていた人と、気にしていない人の2つのタイプに分け、それぞれの進め方の目安を並べた図

現場のひとこと

やりたくてもやれないと思っていた人は「とても助かる」という反応です。何も気にしていない人は、きれいになっても何も気にしない人もいます。

実家の片づけ、誰がやる?3つの選択肢

台所のテーブルで湯のみを前に考えている子

片づける人は、家族/訪問介護の生活援助/自費の不用品回収の3つです。 物の量と、頼める範囲で選びます。

① 家族が片づける

一番身近な方法です。本人の物を知っている家族なら、「これは残す」「これは使っていない」を本人と一緒に決めやすくなります。

ひとつ気をつけたいのは、本人の物を、本人に聞かずに捨てないこと。 本人が「勝手に捨てられた」と感じると、次から片づけの話がしにくくなります。

② 介護保険の訪問介護(生活援助)で片づける

介護保険のサービスを使っている親なら、ヘルパーさんに掃除やゴミ出しを頼めることがあります。ただし、頼める範囲が決まっています。 詳しくは、次の章で。

③ 自費のサービスで、不用品を回収してもらう

あまりに物が多い時は、便利屋さんのような自費のサービスで、不用品を回収してもらうこともあります。家族やヘルパーさんでは運び出せない量の時の選択肢です。

あなたの実家の量は、どれに近いですか。

家族で片づけられる量か、ヘルパーに頼める範囲か、量が多すぎるかで、家族・訪問介護の生活援助・自費の不用品回収に分かれる図

現場のひとこと

片づけるのは、ご家族のパターン、介護保険の訪問介護(生活援助)でやるパターンがあります。あまりに多いと、便利屋さんのような自費のサービスで不用品回収をしてもらうこともあります。

ヘルパーの生活援助で、片づけはどこまで頼める?

台所で、ヘルパーと親が並んで冷蔵庫の中を一緒に見ている

頼めるのは「本人の日常生活の範囲」の掃除や片づけです。 大掃除や、家族のための片づけは頼めません。

頼めること

厚生労働省の通知(いわゆる老計第10号)では、生活援助の「掃除」として、次のような行為が挙げられています。

  • 居室内やトイレ、卓上などの清掃
  • ゴミ出し

ヘルパーが本人と一緒に、声をかけたり見守ったりしながら行う掃除や整理整頓は、身体介護の「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」に入ります。本人の自立につながるものとして、ケアマネジャーがケアプランに位置づけた場合に使えます。身体介護なので、生活援助より費用は高くなります。通知には、認知症の高齢者の方と一緒に冷蔵庫の中を整理することで、生活歴を思い出すきっかけにする、という例も載っています。

ケアマネジャーに相談して、「本人と一緒に片づけてもらう」形にできることもある、ということです。

頼めないこと

厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、訪問介護で受けられないサービスの例として、次のものが挙げられています。

  • 利用者の家族のための家事や来客の対応
  • 草むしり、ペットの世話、大掃除、窓のガラス磨き、正月の準備

実家にたまった物を一度に全部片づける、家族の部屋まで片づける、家具を動かして模様替えする。こうした作業は、生活援助では原則として対象外です。

同居の家族がいる時は、使えないこともある

生活援助は、本人がひとり暮らしの場合や、同居の家族が障害や病気などで家事をするのが難しい場合に使うサービスです。同居の家族がいると使えないこともありますが、家族の状況によっては使える場合もあります。

費用は、介護サービス情報公表システムの表示で、要介護1〜5・1割負担の場合に生活援助1回あたり179円(20分以上45分未満)・220円(45分以上)が目安です。1割負担・加算を除いた基本の金額だと、週1回45分(月4〜5回)で約900〜1,100円です。実際には、事業所の加算(処遇改善加算など)やお住まいの地域でこれより高くなり、2割・3割負担の方は2〜3倍になります。正確な金額は、ケアマネジャーや事業所に確認してください。

頼めるかどうかは、親の要介護度や家族の状況、自治体によって変わります。「物が増えてきたので、掃除やゴミ出しを頼めますか」と、担当のケアマネジャーに聞いてみませんか。要支援の方は、地域包括支援センターが窓口です。

ヘルパーさんに頼めないことの全体像は、こちらにまとめています。

▶ ヘルパーに頼めないこと完全ガイド

物が多すぎる時は?自費の不用品回収を頼む前に見ること

自宅のダイニングでスマートフォンを見ながら考える子

家庭のごみ(廃棄物)を回収できるのは、実家のある市区町村の許可や委託を受けた事業者です。 まだ使える物を買い取ってもらう場合は、古物商の許可を持つ業者が対象になります。頼む前に、ここを確認します。

保険で頼めないことの頼み先は、こちらで4つに整理しています。

▶ 保険で頼めないことは誰に頼む?草引き・家族の分の掃除・福祉用具・配食、4つの頼み先を現役の社会福祉士が整理

① 許可を確認する

環境省は、家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業許可」や委託が必要と案内しています。「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」だけでは、家庭の廃棄物は回収できません。チラシやホームページで許可の種類を見て、分からなければ業者に直接聞いてください。許可は市区町村ごとです。市区町村のホームページに許可業者の一覧が載っていることもあります。

② 市区町村のルールで出せる物を先に分ける

粗大ごみの収集など、市区町村のルールで出せる物もあります。処分の仕方が分からない時は、お住まいの市区町村に問い合わせると教えてもらえます。

エアコン・テレビ・冷蔵庫/冷凍庫・洗濯機/衣類乾燥機の4品目は、家電リサイクル法による別の流れで処分します(環境省)。

③ 本人に、残す物を先に聞いておく

回収の当日は、作業が一気に進みます。残したい物、捨てたくない物は、頼む前に本人と決めておきます。 気にしていない人にも、大事にしている物はあるはずです。

④ 見積もりは、作業の前にもらう

何をどれだけ回収してもらうか、費用はいくらか。作業の前に書面でもらっておくと、あとで「思っていた金額と違う」を防げます。

国民生活センターは、「安い定額パックのはずが、作業後に高額な料金を請求された」といった不用品回収のトラブルを注意喚起しています。許可業者を選び、複数社から見積もりを取って、追加料金がかからないかを確かめてから頼んでください。困った時は、消費者ホットライン「188」に相談できます。

実家の片づけは、どんな順番で進める?

床の段ボールの中身を、子と親が一緒にのぞき込んでいる

サインに気づいてから、片づけを続けるまでの流れは6つです。

サインに気づく、親のタイプを見る、ケアマネジャーか地域包括支援センターに相談する、誰が片づけるかを決める、片づける、続ける、の流れ図

③ 相談する時の言い方

介護保険のサービスを使っているなら、担当のケアマネジャーに。まだ使っていない、または要支援なら、親が住む地域の地域包括支援センターに相談します。

  • 「実家の床に物が増えてきて、冷蔵庫に賞味期限切れの物も増えています。片づけを手伝ってもらえるサービスはありますか」

サインを3つの言葉で伝えると、相手も状況をつかみやすくなります。地域包括支援センターの探し方は、こちらに。

▶ 地域包括支援センターとは?相談できること・使い方・探し方を完全解説【社会福祉士監修】

⑥ 一度で終わりにしない

一度片づけても、時間がたつと、また物が増えることがあります。生活援助を使える場合は、ヘルパーさんの定期的な掃除やゴミ出しで、「増えた分をこまめに減らす」形をつくっておくと、大きな片づけを繰り返さずに済みます。

よくある質問(FAQ)

縁側で湯のみを持ってくつろぐ親

Q. 親が「片づけなくていい」と言います。どうすればいい?

無理に進めると、話がこじれることがあります。「きれいにしたい」ではなく、「床でつまずかないように、通り道だけ空けよう」と、範囲を小さくして持ちかけてみてください。

Q. ヘルパーさんに、使っていない物を捨ててもらえますか?

本人が捨てると決めた物のゴミ出しは、生活援助で頼めます。何を捨てるか本人と一緒に確かめながら進める形は、ケアプランに位置づければ身体介護として使えることがあります。ケアマネジャーに相談してください。

Q. 賞味期限切れが多いのは、認知症のサインですか?

賞味期限切れが増える理由は、人によって違います。これだけで判断はできません。物忘れが気になる時は、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談してください。食事の用意そのものがしんどそうなら、宅配食という手もあります。

▶ 親が「もう作るのがしんどい」と言ったら?宅配食を頼む前に見る「作りたい気持ち」の線引きと、1食800〜1,000円の目安

Q. 遠方に住んでいて、片づけに通えません

担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに、サインと困っていることを電話で伝えてください。生活援助を使えるか、自費のサービスを組み合わせるかを、一緒に考えてもらえます。

まとめ:まず親のタイプを見て、片づける人を選ぶ

床がすっきりした居間で、親と子が並んでお茶を飲みながら笑顔で話している

要点は4つです。

  • 物が増えたサインは、床や空いているスペースの物・同じものがたくさん・賞味期限切れが増えるの3つ
  • 片づけの反応は人による。「やりたくてもできない」人は「とても助かる」、気にしていない人はきれいになっても気にしないこともある
  • 片づける人は、家族/訪問介護の生活援助/自費の不用品回収の3つ
  • 生活援助で頼めるのは本人が日常使う場所の掃除やゴミ出し。大掃除や家族のための家事は頼めない

次のうち1つでも当てはまるなら、片づけを考え始めていいタイミングです。

  • 通り道の床に、物が置かれたままになっている
  • 同じものが、棚や押し入れにいくつも並んでいる
  • 冷蔵庫の賞味期限切れが、帰るたびに増えている

今日できることは1つ。次に実家に帰った時、冷蔵庫と床をそっと見てみませんか。気づいたことをケアマネジャーに一言伝えるだけでも、片づけの入口になります。

この記事を書いた人

むむぶどう🍇

社会福祉士・ケアマネジャー。社会福祉士として福祉の現場に20年、介護施設・在宅サービスでご本人とご家族の支援に関わってきました。福祉の制度を「使える形」にして届けたい、と思って発信しています。

実家の片づけは、きれいにすることより、親が暮らしやすくなることが目的です。家族だけで抱えずに、使える手を選んでください。

▶ note(現場のリアル・体験談):https://note.com/mumubudou

▶ X(毎朝のつぶやき・現場の小ネタ):https://x.com/mumubudo

ブログでは「制度の使い方」を、noteでは「現場のリアル」を、Xでは「今日の気づき」を発信しています。

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参考資料

※この記事は、実家の片づけを考える時の一般的な流れです。訪問介護で頼める内容や、生活援助を使えるかどうかは、要介護度・家族の状況・お住まいの市区町村によって違います。詳しくは、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、市区町村の介護保険の窓口にご確認ください。

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