親の担当のケアマネジャーと、どうも合わない。返事が遅い、話していて馬鹿にされている気がする。でも「変えたい」と言ったら角が立ちそうで、誰にも言えずにいませんか。
先に結論です。ケアマネジャーは変えられます。同じ事業所の中で担当だけ変える方法と、事業所ごと変える方法の2つがあります。直接言いにくければ、地域包括支援センターに間に入ってもらうこともできます。
私は社会福祉士として福祉の現場に20年、現在は居宅介護支援事業所でケアマネジャーをしています。つまり、「変えてほしい」と言われる側です。その立場から、家族が角を立てずに変えるための手順をまとめました。
ケアマネジャーを「変えたい」と思っていい?

いいです。変えたいという連絡は、実際に事業所に入ります。
居宅介護支援事業所は、利用者が自分で選んで契約する仕組みです。言われる側として書くと、変えたいと思うこと自体はおかしなことではありません。
ケアマネジャーは、本人と家族がこの先の暮らしを相談する相手です。話すたびにもやもやする相手に、困りごとを打ち明けるのは難しいですよね。合わないまま我慢すると、相談そのものが減ってしまうこともあります。
「変えたら、親のサービスが止まるんじゃない?」と心配な方もいるかもしれません。基本は、新しい担当に引き継いでからサービスを続けていく形です。今使っているデイサービスやヘルパーの事業所は、ケアマネジャーが変わっても続けて使えるのが基本です。変え方と順番は、このあと書きます。
なお、要支援から要介護になった時に担当が変わる話は、制度の都合で「変わる」ケースです。家族が「変えたい」話とは別なので、こちらにまとめています。
▶ ケアマネの利用料は0円。それでも遠慮しなくていい理由と、要支援から要介護で担当が変わる仕組み
現場のひとこと
「変えてほしい」と、直接事業所に連絡が入ることもあります。
変えたい理由で多いのは?

一番多いのは「相性が悪い」です。
ただ、「相性」はひと言で片づけられがちです。中身をほどくと、こんな声が出てきます。
「親切じゃない」
相談しても、そっけない。こちらの困りごとに寄り添ってもらえていない気がする。そう感じる時の言葉です。
「返答が遅い」
電話しても折り返しがなかなか来ない。頼んだことの返事が遅い。介護の困りごとは待てないことが多いので、ここで不安が大きくなります。
「人を馬鹿にしている」
本人や家族を見下しているように感じる。言い方や態度が引っかかる。これがあると、相談する気持ちが一気にしぼみます。
どれか1つでも当てはまるなら、変えることを考えていい理由になります。あなたのもやもやは、どれに近いですか。
現場のひとこと
変えたい理由は「相性が悪い」が多いです。その中身は「親切じゃない」「返答が遅い」「人を馬鹿にしている」といった感じです。
変える前に、整理しておくことは?

「何が・いつ・どう合わないか」をメモにしておきます。 これが、伝える時と変え方を決める時の材料になります。
① 何が合わないかを、場面で書く
「なんとなく合わない」のままだと、伝える時に言葉に詰まります。メモの例はこんな形です。
- 「先週の火曜に電話した。折り返しは金曜だった」
- 「母の話を途中でさえぎって、別の話を始めた」
場面で書いておくと、事業所や地域包括支援センターに相談する時、そのまま見せられます。
② 本人の気持ちを聞く
ケアマネジャーと一番話すのは本人です。家族は合わないと感じていても、本人は気に入っていることもあります。逆もあります。「今の担当さん、話しやすい?」と、先に本人に聞いてみませんか。
本人がなかなか本音を言わない時の聞き方は、こちらにまとめています。
▶ 親が「大丈夫」しか言わない|本音が出る5つの場面と、ケアマネへの伝え方
③ 「人」が合わないのか、「事業所」が合わないのか
担当の人の言い方や態度が合わないのか。それとも、事業所全体の対応に不安があるのか。ここで、次の章の「変え方」が分かれます。
変える前に、気になる点を一度伝えてみる手もあります。それで変わることもあれば、変わらないこともあります。伝えても変わらなかった時は、遠慮せず次に進んで大丈夫です。
ケアマネの変え方は2つ。どちらを選ぶ?

同じ事業所の中で担当を変えるか、事業所ごと変えるか。 ケースによって、どちらで済むかが変わります。
親が要支援の場合、ケアプランは地域包括支援センター(またはそこから頼まれた事業所)が担当していることが多く、ここで書いた流れとは少し違います。変える時は、同じ包括の中で別の担当者に替えてもらうか、包括から地域の居宅介護支援事業所に頼んで担当してもらうか、のどちらかになることが多いです。まずは担当している包括に「担当を変えてほしい」と伝えてみてください。要支援と要介護で担当が変わる仕組みは、こちらにまとめています。
▶ ケアマネの利用料は0円。それでも遠慮しなくていい理由と、要支援から要介護で担当が変わる仕組み
同じ事業所の中で、担当だけ変える
居宅介護支援事業所には、ケアマネジャーが複数いることがあります。その場合、同じ事業所の中で別のケアマネジャーに変わるだけで済むこともあります。
- 向いている場合: その担当の人とは合わないが、事業所の対応そのものには不満がない
- よいところ: 事業所の中で引き継ぎができる
- 気をつけること: ケアマネジャーが1人だけの事業所では、この方法はとれない。ほかの担当も受け持ちがいっぱいで、すぐには変われないことがある
事業所ごと変える
別の居宅介護支援事業所と、新しく契約し直す方法です。
- 向いている場合: 事業所全体の対応に不安がある/事業所内にほかの担当がいない
- よいところ: 関係をいったん切り替えられる
- 気をつけること: 新しい事業所を探す必要がある。市区町村への届出が必要になる。前の事業所に、契約を終えることを伝える(引き継ぎは新しい事業所と相談しながら)
どちらがいいか迷ったら、③のメモに戻ってみてください。「人」の話なら担当変更、「事業所」の話なら事業所ごと、が目安です。

現場のひとこと
同じ居宅介護支援事業所の中で、別のケアマネジャーに変わるだけで済むパターンもあります。事業所ごと変えてほしい、というパターンもあります。
「変えてほしい」は、どう伝える?角が立たない2つのルート

直接事業所に言うか、地域包括支援センターに間に入ってもらうか。 言いやすいほうを選んでください。
① 直接、事業所に連絡する
事業所に電話して、「担当を変えてほしい」と伝えます。担当本人に言いにくければ、事業所の管理者(責任者)あてに話したいと伝える方法もあります。
伝え方の例です。
- 「今の担当の方とは、少し相性が合わないと感じています。別の方に変えていただくことはできますか」
- 「事業所を変えることも考えています。手続きの流れを教えてください」
理由は、①のメモの範囲で十分です。相手を責める言い方にしなくても、変えてほしいことは伝わります。
② 言いにくければ、地域包括支援センターに仲介してもらう
「直接は言いにくい」「どう言えばいいか分からない」。そんな時は、親が住む地域の地域包括支援センターに連絡して、間に入ってもらうこともできます。
連絡する時は、こう伝えると話が早いです。
- 「今のケアマネジャーと合わなくて、変えたいと思っています。直接言いにくいので、相談に乗ってもらえますか」
地域包括支援センターの探し方と、相談できることは、こちらにまとめています。
▶ 地域包括支援センターとは?相談できること・使い方・探し方を完全解説【社会福祉士監修】

現場のひとこと
直接その事業所に「変えてほしい」と連絡が入ることもあります。直接言いにくい場合は、地域包括支援センターに連絡して仲介してもらうこともあります。
ケアマネを変えた後は、どう進む?

新しい担当が決まったら、そこからケアプランを作り直していく流れが一般的です。

事業所が変わる時は、市区町村への届出がある
事業所ごと変える場合は、ケアプランを作る事業所が変わったことを、市区町村に届け出ます。たとえば世田谷区は、事業所を変更する場合は区への届出が必要と案内していて、介護保険被保険者証の原本を添えて出す形です。
書類の名前や出し方、同じ事業所の中で担当が変わる時の扱いは、市区町村によって違います。届出は、新しい事業所が書類を用意して代わりに出してくれる場合もあります(世田谷区もケアマネジャーが代行する時の案内を載せています)。「届出はどうすればいいですか」と、新しい事業所に最初に聞いてみてください。
新しい担当と、ケアプランを作り直す
新しいケアマネジャーが自宅を訪ねて、本人と家族の話を聞くところから始まります。そのうえでケアプランを作り、サービス事業所と集まるサービス担当者会議で確認していく流れが一般的です。ケアプランができるまでの流れは、こちらに詳しく書いています。
▶ ケアプラン作成の流れ完全ガイド|要介護認定の後、サービス利用開始までを現役ケアマネが解説
新しい担当には、①のメモや「前の担当で困ったこと」を伝えておくと、同じつまずきを繰り返しにくくなります。担当者会議で家族が話すことは、こちらが参考になります。
▶ サービス担当者会議で家族は何を話す?準備する2つのことと当日の伝え方【本人不在・初回セリフ例も】
よくある質問(FAQ)

Q. 変えてほしいと言ったら、今のケアマネジャーとの関係が気まずくなりませんか?
心配な時ほど、地域包括支援センターに間に入ってもらう方法が使えます。直接伝える場合も、「相性が合わない」と伝えれば十分です。相手を責める理由を並べなくても、変えてほしいことは伝わります。
Q. 本人は今の担当を気に入っています。家族の判断で変えていい?
まずは本人と話し合ってみてください。ケアマネジャーと一番やりとりするのは本人です。家族が困っていることがあるなら、変える前に、その点を担当に伝えてみる手もあります。
Q. 変えるのに、お金はかかりますか?
ケアプランの作成と相談は、介護保険から全額が給付され、利用者の自己負担は原則ありません。担当や事業所が変わっても、この仕組みは同じです。詳しくはこちらに書いています。
▶ ケアマネの利用料は0円。それでも遠慮しなくていい理由と、要支援から要介護で担当が変わる仕組み
Q. 新しい事業所は、どうやって探せばいい?
地域包括支援センターや市区町村の介護保険の窓口で、近くの居宅介護支援事業所の一覧をもらえることがあります。厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」でも、地域の事業所を探せます。どこにするかを決めるのは、本人と家族です。
Q. 何度か変えても合わない時は?
合わない理由のメモを見直して、「何を一番大事にしたいか」を1つ決めてみてください。返事の早さなのか、話をよく聞いてくれることなのか。それを新しい事業所や地域包括支援センターに先に伝えておくと、相談の相手を選ぶ手がかりになります。
まとめ:ケアマネジャーは変えられる。言いにくければ間に入ってもらえばいい

要点は4つです。
- ケアマネジャーは変えられる。変えたいと思うこと自体はおかしなことではない
- 変える前に、何が・いつ・どう合わないかをメモし、本人の気持ちも聞く
- 変え方は2つ。同じ事業所の中で担当だけ変えるか、事業所ごと変えるか
- 伝え方は2つ。直接事業所へか、言いにくければ地域包括支援センターに仲介してもらう
次のうち1つでも当てはまるなら、変えることを考えていいタイミングです。
- 相談しても、そっけないと感じることが続いている
- 電話の折り返しや返事が遅く、困りごとが進まない
- 本人や家族が、見下されているように感じている
今日できることは1つ。もやもやした場面を、1行でいいのでメモに残してみませんか。それが、変える時にも、変えずに伝える時にも使える材料になります。
この記事を書いた人
むむぶどう🍇
社会福祉士・ケアマネジャー。社会福祉士として福祉の現場に20年、介護施設・在宅サービスでご本人とご家族の支援に関わってきました。福祉の制度を「使える形」にして届けたい、と思って発信しています。
「変えてほしい」と言われる側のケアマネジャーとして、家族が遠慮して我慢しないための手順を書きました。
▶ note(現場のリアル・体験談):https://note.com/mumubudou
▶ X(毎朝のつぶやき・現場の小ネタ):https://x.com/mumubudo
ブログでは「制度の使い方」を、noteでは「現場のリアル」を、Xでは「今日の気づき」を発信しています。
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参考資料
- 世田谷区「居宅サービス計画作成依頼(変更)・介護予防ケアマネジメント依頼(変更)の届出」 https://www.city.setagaya.lg.jp/02061/online_tetsuzuki/2255.html
- 横浜市「居宅・介護予防サービス計画作成依頼届出関連」 https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/fukushi-kaigo/kaigo/hoken/nintei/20220906134739808.html
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/
※この記事は、ケアマネジャーを変える時の一般的な流れです。届出の書類や出し方、手続きの扱いは、お住まいの市区町村によって違います。詳しくは、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、市区町村の介護保険の窓口にご確認ください。


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