介護認定の結果が1ヶ月半来ない?待つ間にできる5つのこと

介護認定の結果を待つ間にできる5つのこと 在宅介護のリアル

「要介護認定を申請したのに、1ヶ月たっても結果が来ない」。窓口では30日くらいと聞いたはずなのに、と不安になっていませんか。

先に結論です。認定結果は原則として申請から30日以内に出ることになっていますが、実際にはそれより延びることがあります。私の地域では、最近は1ヶ月半ほどかかるケースも珍しくありません。

ただし、待っている間に何もできないわけではありません。結果が出る前にできることが5つあります。急ぐ場合はサービスを先に使い始める方法もあります。

この記事では、福祉の現場に20年いる社会福祉士で、今は現役のケアマネジャーという立場から、認定が遅れる背景と、待つ間の具体的な動き方を解説します。

介護認定の結果は、どれくらいで出るもの?

制度上の原則は「申請から30日以内」です。介護保険法に定められています。

流れをおさらいすると、次のとおりです。

  • 市区町村の窓口(または地域包括支援センター経由)で申請
  • 認定調査員が自宅や入院先を訪問して聞き取り(認定調査)
  • 主治医が心身の状態について意見書を作成(主治医意見書)
  • コンピュータによる一次判定→介護認定審査会による二次判定
  • 結果通知が郵送で届く

この一連の流れを30日以内に、というのが原則です。30日で出せない場合、市区町村は「処理にかかる見込み期間」と理由を申請者に通知することになっています。

ところが現場の実感は、この原則とずれてきています。私の地域では最近、1ヶ月どころか1ヶ月半くらいかかることがあります。これは全国の統計ではなく、あくまで筆者の地域での最近の実感値です。ただ、お住まいの地域でも起こりうると考えておくと安心です。

なぜ30日で結果が出ないことがあるの?

現場から見えている範囲で、遅れの理由は大きく2つ考えられます。

理由1:主治医の意見書に時間がかかる

認定には主治医意見書が欠かせません。ところが医師も日々の診療で手一杯です。意見書の作成が後回しになり、市区町村への提出が遅れるパターンがあります。

とくに、かかりつけ医を持たず「申請のために初めて受診した」ケースでは、医師が状態を把握するところから始まるため、時間がかかりやすくなります。

かかりつけ医がいない親の申請は、手順を間違えると止まりやすくなります。詳しくは親が何年も病院に行っていない…介護申請はどうする?主治医意見書の壁を越える5ステップで解説しています。

理由2:市区町村の事務処理量が増えている

もうひとつ、市区町村側の事務処理が以前より時間を要するようになっていることも考えられます。高齢者数の増加とともに申請件数は増える一方で、認定調査員や審査会の開催回数には限りがあるためです。

ここで強調したいのは、誰かの怠慢で遅れているわけではないという点です。医師も市区町村の職員も、増え続ける件数を懸命にさばいています。仕組み全体が混み合っている、構造の話として受け止めてください。責める相手を探すより、待つ間に手を動かすほうが、家族にとって実りがあります。

結果を待つ間にできる5つのことは?

ここからが本題です。認定結果を待つ期間は「何もできない空白の時間」ではありません。順に見ていきます。

①急ぐなら「暫定利用」でサービスを先に使い始める

介護保険の効力は、結果が出た日ではなく申請日にさかのぼって発生します。この仕組みを使い、認定結果が出る前に暫定のケアプランを作ってサービスを使い始める方法があります。「暫定利用」と呼ばれます。

退院直後で介護なしでは生活が回らない、家族が限界に近い——そんな切迫した状況なら、待たずに動く選択肢です。窓口は地域包括支援センター、または居宅介護支援事業所(ケアマネジャーの事業所)です。

暫定で使い始めることが多いのは、たとえば次のようなサービスです。

  • 訪問介護(ホームヘルパーによる身体介護・生活援助)
  • デイサービス(日中の預かり・入浴)
  • 福祉用具のレンタル(介護用ベッドや車いすなど。要介護度によって借りられる品目が変わる点に注意)
  • ショートステイ(短期間の宿泊)

どれを使うかは、暫定のケアプランを作るケアマネジャーと相談して決めます。

ただし、暫定利用には注意点があります。

  • 想定した要介護度より低い認定(または非該当)だった場合、限度額を超えた分が自己負担になるリスクがあります
  • 暫定利用の取り扱いには市区町村ごとの差があります

利用を始める前に、ケアマネジャーや包括、市区町村の窓口で「もし想定より低い結果だったらどうなるか」を確認してから進めてください。

②地域包括支援センターに相談して並行準備を進める

まだサービスを使うほどではない場合も、地域包括支援センターへの相談は結果待ちの間に進められます。包括は高齢者の総合相談窓口で、相談は無料です(地域包括支援センターの詳しい使い方はこちら)。

結果が出る前でも、次のような相談ができます。

  • 現在の困りごとの整理(介護保険以外の支援策の紹介を含む)
  • 認定が出た後のサービス利用の見取り図づくり
  • 家族だけで抱えている介護負担の相談

③デイサービスや施設を見学しておく

認定が出たらどのサービスを使うか。その検討材料集めは、結果を待たずにできます。デイサービスや施設の多くは、認定前でも見学を受け付けています。

見学で見るポイントは3つです。

  • 利用者さんの表情(楽しそうか、放っておかれていないか)
  • 職員の声かけの様子
  • 費用の説明が明確か

費用について、ひとつ意外な事実を添えます。特養(特別養護老人ホーム)や老健(介護老人保健施設)は、地域を問わず入居一時金のような初期費用がかかりません。「施設=一時金で数百万円」は有料老人ホームのイメージです(その有料老人ホームも、地方では初期費用なし・少額のところが少なくありません)。なお特養は原則として要介護3以上が入所対象で、初期費用がない代わりに月々の費用はかかります(所得に応じた負担軽減あり)。「お金がないから施設は無理」と検討先から外す前に、見学で実際の費用を確かめてください。

④結果が出たらすぐ動けるよう書類と情報を整えておく

認定結果が届いた後は、ケアマネジャーとの契約、ケアプラン作成、サービス事業所との契約と、手続きが続きます。ここで書類を探し回ると数日単位のロスになります。待っている間に、次をひとまとめにしておきましょう。

  • 介護保険被保険者証(申請時に預けている場合は控えを確認)
  • 健康保険証、お薬手帳
  • かかりつけ医の名前・医療機関の連絡先
  • 本人の生活歴・困りごとのメモ(いつから、何に困っているか)
  • 家族側の連絡窓口を1人に決めておく(キーパーソンの整理)

とくに最後の「窓口を1人に決める」は効きます。家族が複数いる場合、それぞれが別々にケアマネジャーへ連絡すると、話の食い違いで支援が止まることがあるためです。

⑤ケアマネジャー選びの下調べをしておく

要介護認定が出た場合、在宅生活の要になるのがケアマネジャーです。どの居宅介護支援事業所に頼むかは利用者側が選べます。結果を待つ間に下調べをしておくと、認定後すぐ契約に進めます。

  • 市区町村の窓口や包括で、居宅介護支援事業所の一覧をもらう
  • 自宅からの距離、対応時間帯を確認する
  • 迷ったら包括に「自分の状況に合いそうな事業所」を相談する

なお、要支援の認定だった場合は、ケアプラン作成の窓口は原則として地域包括支援センターになります。どちらに転んでも②の包括相談が生きる、という設計です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 30日を過ぎたら、市区町村に問い合わせてもいい?

問い合わせて構いません。申請した窓口に連絡すれば、処理状況を教えてもらえます。前述のとおり、30日を超える場合は見込み期間の通知が届く仕組みもあります。届いていなければ、その確認を兼ねて連絡してみてください。クレームではなく「今どの段階ですか」という確認の聞き方で十分伝わります。

Q2. 暫定利用を始めて、もし「非該当」だったら?

その場合、使ったサービス費用が全額自己負担になる可能性があります。だからこそ、暫定利用は「認定が出る見込みが高い」とケアマネジャーや包括が判断した場合に選ぶのが基本です。自己判断で走らず、①で述べたとおり事前にリスクの説明を受けてください。

Q3. せめて杖だけでも早く借りられませんか?

ここに落とし穴があります。一番身近なT字杖(一本杖)は、そもそも介護保険のレンタル対象外です。保険で借りられる「歩行補助つえ」は、松葉づえや多点杖(四点杖)などに限られます。

つまりT字杖は、認定を待つ必要がなく、いつでも自費で購入できます。ホームセンターでも買えますが、福祉用具の事業所は保険が効かないT字杖でも「この人にはどんな杖が合うか」の相談に乗ってくれて、自宅への納品までしてくれるところがあります。体に合わない杖はかえって危ないので、選び方に迷ったら包括やケアマネジャー経由で福祉用具事業所を紹介してもらう方法を覚えておいてください。

保険で借りられる品目の全体像は介護保険の福祉用具レンタル完全ガイドにまとめています。

Q4. 長く待った結果が、想定より低い要介護度だったら?

やり直しの道が2つあります。ひとつは「区分変更申請」。状態が結果と合っていないと感じる場合に、あらためて認定の見直しを申請する方法です。もうひとつは、結果そのものへの不服を申し立てる「審査請求」です。

どちらが合うかはケースによるので、まずはケアマネジャーか包括、市区町村の窓口に相談してください。ひとつだけ注意点があり、審査請求には期限(原則として、結果を知った日の翌日から3ヶ月以内)があります。「結果が出たら終わり」ではない、という点だけ覚えておけば十分です。

まとめ:待ち時間を「準備期間」に変える

最後に要点を整理します。

  • 認定結果は原則30日以内だが、実際は延びることがある(筆者の地域では最近1ヶ月半の実感)
  • 遅れは意見書や事務処理量など構造的な要因が考えられる。誰かを責める話ではない
  • 急ぐなら暫定利用(申請日にさかのぼって保険適用)。ただし低い認定だった場合の自己負担リスクと市区町村差に注意
  • 急がないなら、包括相談・見学・書類整理・ケアマネ選びの下調べを進めておく

認定を待つ1ヶ月半は、動き方しだいで「不安なまま過ぎる時間」にも「介護の立ち上がりを早める準備期間」にもなります。まずは地域包括支援センターに電話を1本。そこから始めてみてください。

あわせて読みたい

出典・参考


この記事を書いた人

むむぶどう🍇
社会福祉士・ケアマネジャー。社会福祉士として福祉の現場に20年、介護施設・在宅サービスでご本人とご家族の支援に関わってきました。福祉の制度を「使える形」にして届けたい、と思って発信しています。

▶ note(現場のリアル・体験談):https://note.com/mumubudou
▶ X(毎朝のつぶやき・現場の小ネタ):https://x.com/mumubudo

ブログでは「制度の使い方」を、noteでは「現場のリアル」を、Xでは「今日の気づき」を発信しています。

記事が役に立ったらブックマーク・SNSシェアいただけると励みになります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました