老老介護のリアル完全ガイド|共倒れを防ぐ制度・サービス・心構え【現役社会福祉士20年が解説】

在宅介護のリアル

介護もケアマネもできるオールラウンド社会福祉士のむむぶどう🍇です(^o^)

「お父さんを介護してるのは、80歳のお母さんです」
「100歳のお母さんを、75歳の娘さんが看ています」

こういうご家庭、現場では本当に多いです。

国の調査では、在宅介護のうち老老介護(介護する側もされる側も65歳以上)は全体の6割超にのぼります。さらに最近は「認認介護(介護する側もされる側も認知症)」も静かに増えてきました。

今回の記事では、

  • 老老介護のリアルな現状
  • 共倒れを防ぐために使える制度・サービス
  • 家族・親族・地域との役割分担の作り方
  • 介護者自身の健康と将来を守る考え方

を、現場で200件以上の老老介護世帯を見てきた立場から整理します。

「うちはまだ大丈夫」と思っているご家族こそ、最後まで読んでみてください。

※制度・統計は2026年5月時点の情報です。最新の詳細はお住まいの市区町村の介護保険担当窓口・地域包括支援センターでご確認ください。


  1. 老老介護とは|全体の6割超という現実
  2. なぜ老老介護がこんなに増えたのか
    1. ①平均寿命の延び
    2. ②少子化と核家族化
    3. ③女性の社会進出
    4. ④介護施設の不足と費用の壁
  3. 老老介護で起きやすい3つの問題
    1. 問題①共倒れ
    2. 問題②高齢者虐待・介護放棄
    3. 問題③介護うつ・社会的孤立
  4. 共倒れを防ぐ「使える制度」総まとめ
    1. 制度①地域包括支援センター(無料相談窓口)
    2. 制度②介護保険サービス
    3. 制度③高額介護サービス費
    4. 制度④介護休業・介護休暇(働く家族向け)
    5. 制度⑤医療費控除(介護費用も対象)
  5. 介護保険サービスをフル活用する組み立て方
    1. 典型的な組み立て例(要介護2のケース)
    2. よくある失敗パターン
  6. ショートステイ・小規模多機能で「離れる時間」を作る
    1. ショートステイ(短期入所生活介護)
    2. 小規模多機能型居宅介護
    3. 看護小規模多機能型居宅介護(看多機)
  7. 認知症が絡んだ時の追加対策
    1. 認知症対応型デイサービス(認知症デイ)
    2. 認知症グループホーム
    3. 認知症初期集中支援チーム
    4. 成年後見制度
  8. 家族・親族・外部リソースとの役割分担
    1. 親族間の役割分担を「見える化」する
    2. 「介護者を休ませる係」を必ず作る
    3. 地域のインフォーマルサポート
  9. お金の悩み:使える経済支援
    1. 介護保険の自己負担割合(1〜3割)
    2. 高額介護サービス費
    3. 高額医療・高額介護合算療養費
    4. 負担限度額認定証
    5. 介護タクシー・通院等乗降介助
    6. 医療費控除
  10. 介護者自身の健康管理(要介護化予防)
    1. 定期通院は絶対に止めない
    2. 睡眠時間を確保する
    3. 趣味・友人関係を断ち切らない
    4. 介護うつのサイン
  11. まとめ|共倒れにしないための3か条
    1. ①「自分が頑張る」を疑う
    2. ②離れる時間を必ず作る
    3. ③介護者の健康を最優先にする
    4. この記事を書いた人

老老介護とは|全体の6割超という現実

「老老介護」とは、介護する側もされる側も65歳以上の高齢者である介護のかたちを指します。

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、在宅で介護を受けている世帯のうち、

  • 介護する人・される人ともに65歳以上:約63%
  • 介護する人・される人ともに75歳以上:約36%

つまり3組に1組は「後期高齢者同士の介護」が現実です。

さらに、

  • 認知症の人が認知症の人を介護する「認認介護
  • 子(といっても60〜70代)が90〜100代の親を看る「超老老介護

といったケースも、相談現場では珍しくありません。

「老老介護はうちの問題じゃない」と思っている40〜50代の方こそ要注意です。今のままだと20年後の自分たちがそのまま老老介護の当事者になります。


なぜ老老介護がこんなに増えたのか

老老介護が増えた背景は、ひとつではありません。社会構造の変化が複雑に絡んでいます。

①平均寿命の延び

男性81歳、女性87歳。「介護が必要になる年齢」と「介護できる体力の限界」が、ほぼ同じ時期に重なるようになりました。

夫婦どちらかが要介護になっても、もう一方が60代後半〜70代に達しているケースが大半です。

②少子化と核家族化

「同居の子・嫁が看る」が標準だった時代は終わりました。

  • 子ども自体が少ない
  • 子どもは都市部に出ていて遠距離
  • 共働きで介護に専念できない

結果として、配偶者か、近距離に住む高齢のきょうだい・親戚が主介護者になります。

③女性の社会進出

「嫁が看る」前提が崩れ、男性介護者も急増しました。男性介護者の割合は今や3〜4割に達します。慣れない家事・身体介助で混乱し、孤立しやすい層です。

④介護施設の不足と費用の壁

特養は待機が多く、有料老人ホームは月15〜30万円超。結果として「家で看るしかない」という選択に追い込まれる家庭が増えています。


老老介護で起きやすい3つの問題

老老介護の現場で、私が「これは危険」と判断するサインは大きく3つあります。

問題①共倒れ

一番多いのが、介護者の体力・気力が先に限界を超えるパターンです。

  • 夜間の見守りで慢性的な睡眠不足
  • 入浴介助・排泄介助で腰や膝を痛める
  • 自分の通院を後回しにして持病が悪化
  • 食事を簡単に済ませて栄養失調

ある日突然、介護者が倒れて緊急入院。要介護者は急遽ショートステイか短期入所、というケースを私は何度も見てきました。

「介護される側が亡くなる前に、介護する側が倒れる」──これが老老介護の最大のリスクです。

問題②高齢者虐待・介護放棄

虐待というと「悪意」をイメージしがちですが、老老介護の虐待の大半は”疲弊からくる無自覚な虐待”です。

  • 大声で怒鳴ってしまう(心理的虐待)
  • つい強く腕をつかんでしまう(身体的虐待)
  • 食事や介護を後回しにしてしまう(介護放棄)

加害者を責めても解決しません。支援が届いていない介護者を救うことが、結果的に要介護者を救うという発想が大切です。

問題③介護うつ・社会的孤立

長期間の介護は、介護者を社会から切り離します。

  • 友人と会う時間がなくなる
  • 趣味や外出を諦める
  • 「いつまで続くのか」が見えない
  • 配偶者を看取った後、自分も急速に弱る(介護後うつ

介護うつは見過ごされやすく、介護者自身が要介護化する引き金になります。


共倒れを防ぐ「使える制度」総まとめ

ここからが本題です。老老介護を「家族の根性」で乗り切ろうとすると必ず破綻します。使える制度を全部使うのが正攻法です。

制度①地域包括支援センター(無料相談窓口)

中学校区ごとに必ず設置されている、高齢者の総合相談窓口です。

  • 介護保険の申請代行
  • ケアマネの紹介
  • 虐待・困窮の相談
  • 認知症初期集中支援

「実家の住所+地域包括」で検索すれば、担当センターがすぐ出てきます。料金は無料です。

▶ 関連記事:地域包括支援センターの使い方

制度②介護保険サービス

要介護認定を受ければ、介護保険から1〜3割負担で各種サービスが使えます。

  • 訪問介護(ヘルパー)
  • 訪問看護
  • 訪問入浴
  • デイサービス・デイケア
  • ショートステイ
  • 福祉用具レンタル
  • 住宅改修(手すりなど20万円補助)

▶ 関連記事:要介護認定の流れ完全ガイド

制度③高額介護サービス費

介護保険の自己負担額には月の上限があります。

  • 住民税非課税世帯:月24,600円
  • 一般所得:月44,400円〜

超えた分は申請すれば戻ってきます。初回だけ申請すれば、翌月以降は自動振込になります。

制度④介護休業・介護休暇(働く家族向け)

老老介護の世帯を支える子世代向けの制度です。

  • 介護休業:通算93日(給付金67%)
  • 介護休暇:年5〜10日
  • 短時間勤務:最低3年間

「親の介護で離職する前に絶対知っておきたい」内容です。

▶ 関連記事:介護離職を防ぐ4つの制度

制度⑤医療費控除(介護費用も対象)

訪問看護・デイケア・通院交通費などは医療費控除の対象になります。年間10万円を超えれば確定申告で税金が戻ります。

▶ 関連記事:医療費控除の完全ガイド(介護費用編)


介護保険サービスをフル活用する組み立て方

老老介護を「乗り切れる介護」に変える鍵は、サービスを組み合わせることです。

典型的な組み立て例(要介護2のケース)

月〜金の日中:デイサービス(週3回)
→ 介護者の自由時間を確保

週1回:訪問看護
→ 健康状態のチェック・医療連携

週2回:訪問介護(入浴介助・排泄介助)
→ 介護者の身体的負担を軽減

月1〜2回:ショートステイ(2泊3日)
→ 介護者が完全に休む時間を確保

通年:福祉用具レンタル(介護ベッド・手すり)
→ 介護者の腰・膝を守る

これだけ組んでも、自己負担は月3〜5万円程度に収まります(要介護2・所得段階による)。

よくある失敗パターン

  • 「ヘルパーに来てもらうのは申し訳ない」と週1回しか頼まない
  • 「ショートステイは可哀想」と一度も使わない
  • 「介護ベッドは病人みたいで嫌」と布団のまま腰を痛める

遠慮した結果、介護者が倒れて要介護者も施設行き──これが最悪のパターンです。

ケアマネに「介護者を倒さないプラン」を組んでもらう、というはっきりした依頼の仕方が有効です。


ショートステイ・小規模多機能で「離れる時間」を作る

老老介護で一番大事なのは、介護者と要介護者が物理的に離れる時間を定期的に作ることです。

ショートステイ(短期入所生活介護)

特養や老健に1泊〜30日まで泊まれるサービスです。

  • 介護者の旅行・冠婚葬祭で利用
  • 介護者の入院・通院で利用
  • 介護者の心身リフレッシュ(レスパイト)で利用

「2泊3日だけでも1ヶ月の疲れが取れた」と話す介護者は多いです。

小規模多機能型居宅介護

「通い・訪問・泊まり」を一つの事業所で柔軟に組める仕組みです。

  • 普段はデイサービスのように通う
  • 必要な時はヘルパーが来る
  • 介護者が疲れたら泊まれる
  • 月額定額(要介護度により変動)

老老介護世帯と相性が良いサービスです。「うちの地域に小規模多機能ありますか?」とケアマネに聞いてみてください。

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)

医療ニーズが高いケース(点滴・喀痰吸引・経管栄養など)にも対応できる、訪問看護+小規模多機能のハイブリッド型です。


認知症が絡んだ時の追加対策

老老介護に認知症が加わると、難易度が一気に上がります。「認認介護」になると、介護そのものが破綻します。

認知症対応型デイサービス(認知症デイ)

少人数(最大12人)で、認知症の方が落ち着いて過ごせる環境を作ります。通常のデイサービスより手厚いケアが受けられます。

認知症グループホーム

認知症の方9人が一緒に暮らす施設です。要介護1から入れます。月12〜15万円程度。

「在宅は限界。でも特養はまだ早い」というケースの中間選択肢として有効です。

認知症初期集中支援チーム

地域包括支援センターに設置されている専門チームが、自宅を訪問して認知症のアセスメントをしてくれます。早期受診・サービス導入の道筋を作ってくれる無料の仕組みです。

成年後見制度

判断能力が低下した本人の財産・契約を守る仕組みです。

  • 銀行口座の凍結対策
  • 不動産売却・施設入所契約の代行
  • 親族後見人・第三者後見人

「元気なうちに任意後見」が一番おすすめですが、認知症発症後でも法定後見の道があります。


家族・親族・外部リソースとの役割分担

「主介護者一人で全部抱える」のは、老老介護では絶対に避けたいパターンです。

親族間の役割分担を「見える化」する

家族会議で次の4つを書き出してみてください。

  • 直接介護(食事・排泄・入浴の介助)
  • 金銭支援(介護費用・施設費用の負担)
  • 遠隔フォロー(電話で見守り・市役所手続き)
  • 休日支援(月1〜2回、介護者を休ませる)

全員が「直接介護」じゃなくていいんです。得意分野で関わるのが続くコツです。

「介護者を休ませる係」を必ず作る

きょうだい間でよく揉めるのが「結局、長男の嫁が全部やってる」「実家の近くに住んでる長女がやってる」問題です。

遠方に住んでいるきょうだいは、

  • 月1回でいいから泊まりがけで帰省する
  • 介護者を強制的にホテル泊で休ませる
  • 介護保険外サービス(自費ヘルパー)の費用を負担する

など、自分の役割を金銭・労力で形にすることが大事です。

地域のインフォーマルサポート

  • 民生委員(地域の見守り役)
  • 認知症カフェ(介護者の息抜き場所)
  • 介護者の集い・家族会
  • シルバー人材センター(庭仕事・買い物代行)

「介護保険サービスじゃないけど、地域で使えるもの」を地域包括支援センターに聞いてみてください。


お金の悩み:使える経済支援

老老介護では、年金収入で介護費用をやりくりする家庭がほとんどです。使える経済支援を全部使い切るのが鉄則です。

介護保険の自己負担割合(1〜3割)

所得段階によって自己負担が変わります。住民税非課税世帯なら1割負担です。

高額介護サービス費

月の自己負担に上限あり。超えた分は申請で戻ります。

高額医療・高額介護合算療養費

医療費と介護費の年間合算でも上限があります。8月から翌7月の1年間で計算され、世帯の所得段階に応じて上限が設定されます。

負担限度額認定証

特養・老健・ショートステイの食費・居住費が大幅に下がる制度。住民税非課税世帯が対象です。申請しないと適用されません

介護タクシー・通院等乗降介助

通院時のタクシー代の一部が介護保険で賄えます。

医療費控除

介護費用の一部(訪問看護・デイケア・通院交通費)も対象になります。確定申告で税金が戻ります。


介護者自身の健康管理(要介護化予防)

介護者が倒れない限り、老老介護は続きます。だからこそ「介護者の健康」が最重要KPIです。

定期通院は絶対に止めない

  • 高血圧・糖尿病の薬は欠かさない
  • がん検診・健康診断は毎年受ける
  • 歯科検診も忘れずに

「親の介護で自分の通院を止めた」は最悪のパターンです。

睡眠時間を確保する

夜間の見守りがしんどい場合は、

  • ショートステイで月数日まとめて休む
  • 訪問介護の夜間対応を組む
  • 介護ベッドのセンサーマットで対応

など、ケアマネに相談してください。

趣味・友人関係を断ち切らない

「介護があるから無理」と全部断ると、配偶者を看取った後に燃え尽き症候群になります。

月1回でいいので、

  • 友人とランチ
  • 推し活
  • 散歩・趣味の継続

を意識的に確保してください。

介護うつのサイン

次のサインが2週間以上続いたら、地域包括支援センターか心療内科に相談してください。

  • 眠れない・早朝覚醒
  • 食欲がない・体重減少
  • 何をしても楽しくない
  • 「自分がいなくなれば」と考える

介護者のうつは、地域包括支援センターも積極的に介入します。一人で抱え込まないでください。


まとめ|共倒れにしないための3か条

老老介護を乗り切る心構えを、3つに絞ってお伝えします。

①「自分が頑張る」を疑う

介護者が頑張れば頑張るほど、地域や親族の支援は遠ざかります。「使えるものは全部使う」のが、要介護者を一番幸せにする選択です。

②離れる時間を必ず作る

ショートステイ・デイサービス・親族の応援──手段は何でもいい。月に数日でも完全に介護から離れる時間を確保してください。

③介護者の健康を最優先にする

要介護者より、まず介護者です。介護者が倒れたら、要介護者の選択肢は施設しかなくなります。


最後に、現場で介護者の方によく言うことを書いておきます。

「介護は、走ってる本人より、見てる周りの方が客観的に見えます。”もう限界”の判断は、自分でしないでください。地域包括にしてもらってください」

地域包括支援センターは、無料で何度でも相談できる窓口です。

老老介護で「もう無理」と感じる前に、一度電話してみてください。

それが、ご夫婦・ご家族みんなを守る一番の近道です。


この記事を書いた人

むむぶどう🍇 / 社会福祉士・ケアマネジャー|福祉の相談屋さん20年。介護・福祉・障害・地域のリアルを発信中。

  • X(旧Twitter):https://x.com/mumubudo
  • note(エッセイ・体験談):https://note.com/mumubudou

「老老介護でもう限界かも…」と感じたら、まずは地域包括支援センターへ。ひとりで抱えないでくださいね。

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