親の認知症予防、今できることは何?14のリスク因子と、「聞こえ・歯」に制度で安く手を打つ順番

親の認知症予防、今できることは何? 在宅介護のリアル

帰省するたび、実家のテレビの音が大きくなっている。呼びかけても返事が一拍遅れる。「認知症になったらどうしよう」と、検索窓に「認知症 予防」と打ち込んだことはありませんか?

先に結論をお伝えします。認知症の「予防」は、「ならない」ではなく「なるのを遅らせる・リスクを下げる」という意味です(国の認知症施策推進大綱の定義)。そのうえで、世界では認知症の約40〜45%、日本では約39%が、理論上は予防または遅らせられる可能性があると推計されています。その因子のうち、日本で一番寄与が大きいのは「聞こえ(難聴)」。 聞こえと歯は、健診と制度を使えば、親がまだ元気なうちに安く手を打てる分野です。

私は社会福祉士として福祉の現場に20年。現在はケアマネジャーとしても働いています。耳が聞こえにくくなって会話をしなくなり、引きこもるようになり、気づいたら認知機能も低下している。そういうケースは、現場にたくさんあります。歯も同じです。この記事では、14のリスク因子の一覧、聞こえと歯に打てる手、家庭で今日できること、相談先の順にまとめます。

認知症は「予防できる」の?——答えは「遅らせる・リスクを下げる」

「予防」という言葉の意味を、先にそろえておきませんか?ここがずれると、家族が無理な期待をしたり、逆にあきらめたりします。

国の認知症施策推進大綱(2019年)の定義はこうです。

「予防」とは、「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味である。

この記事で書く「予防」も、発症をゼロにする話ではなく、リスクを下げて発症を遅らせる話です。どれくらい下げられる可能性があるのか。目安になる推計が3つあります。

  • 世界の約40%: 国際医学誌Lancetの委員会報告(2020年)。12の修正可能なリスク因子に対処すれば、世界の認知症の約40%は「理論上は予防または遅延できる(could theoretically be prevented or delayed)」と推計
  • 世界の最大45%: 同じ委員会の2024年報告。因子が14に増え、修正可能なリスクは最大45%とされています
  • 日本の約39%: 東海大学とコペンハーゲン大学の研究(2026年1月発表)。日本のデータに当てはめると、認知症の38.9%が生活習慣や健康状態の改善によって「防げる可能性がある」と推計

3つとも「理論上」「可能性」「推計」つきの数字です。「4割は防げる」と言い切ると、元の報告の言い方から外れます。それでも、手を打てる因子が4割前後あると分かっているだけで、家族にできることの幅は広がりませんか?

Lancet委員会は、こうも書いています。「認知症予防に、早すぎることも遅すぎることもない(never too early and never too late)」。親が80代でも、今日から始めて意味がある、という立場です。

2024年1月施行の認知症基本法も、希望する人が科学的知見に基づく予防に取り組める環境づくりを、国と自治体の責務にしました(第21条)。予防は個人の努力だけでなく、制度で支える対象です。

認知症のリスク因子は14個?何が入っている?

Lancet委員会の2024年報告が挙げる「修正可能なリスク因子」は14個です。人生のどの時期に効きやすいかで、3段に分かれています。%は、その因子をなくせた場合に理論上減らせる認知症の割合(国立長寿医療研究センターの日本語解説による)です。

認知症の14のリスク因子(Lancet委員会2024年報告・理論上の推計)
認知症の14のリスク因子(%は理論上の推計)

若年期

  • 教育不足(5%)

中年期

  • 難聴(7%)
  • 脂質異常症・高LDLコレステロール血症(7%)
  • うつ(3%)
  • 外傷性脳損傷(3%)
  • 身体活動の不足(2%)
  • 糖尿病(2%)
  • 喫煙(2%)
  • 高血圧(2%)
  • 肥満(1%)
  • 飲酒過多(1%)

高齢期

  • 社会的孤立(5%)
  • 大気汚染(3%)
  • 視力障害(2%)

2020年報告の12因子に、2024年報告で「高LDLコレステロール血症」と「視力障害」が加わって14になりました。

この一覧を見て、気づくことがありませんか?「歯」「口腔」は入っていません。 歯の話は後の章で扱いますが、Lancetの因子リストにない点は正直に書いておきます(一覧は国立長寿医療研究センターの日本語解説に基づきます)。

もうひとつ。中年期の因子で、脂質異常症と並んで最大の7%が「難聴」です。日本のデータに当てはめた東海大学の推計でも、難聴は6.7%で最大、次いで運動不足6.0%、高LDLコレステロール4.5%。世界では最大級、日本では一番大きい因子として「聞こえ」が出てきます。 親の因子を全部は追えなくても、聞こえから見てみませんか?

「聞こえ」はなぜそんなに大きい?放っておくと何が起きる?

現場で見る連鎖は、だいたい同じ形です。

「聞こえ」の連鎖と、手を打てる場所
「聞こえ」の連鎖と、手を打てる場所

1. 聞こえにくくなる

2. 聞き返すのが面倒で、会話をしなくなる

3. 人と会う場に出なくなり、引きこもるようになる

4. 気づいたときには、認知機能も低下している

私が現場で見てきた中に、このケースはたくさんあります。因子の一覧で「難聴」と「社会的孤立」は別々に並んでいますが、実際の暮らしでは、この2つはひと続きになって進みます。

数字でも裏づけがあります(いずれも国立長寿医療研究センターの研究)。

  • 地域で暮らす高齢者のうち、難聴がある人は、認知機能低下を伴う割合が1.6倍(2020年発表。関連を示した横断研究で、原因を証明したものではありません)
  • 眼鏡は8割以上の人が使っているのに、補聴器を使っている人は1割未満(同上)
  • 65歳以上4,739人の追跡で、難聴がある人のうち、孤独感もある人は、ない人に比べて24か月以内の要介護発生リスクが約1.7倍(難聴あり8.3%・なし4.5%)(2023年発表)

見えにくければ眼鏡をかけるのに、聞こえにくくても補聴器は1割未満。このギャップが、手を打てる余地です。

ただし、ここで言い切れないことがひとつあります。「補聴器をつければ認知症を予防できる」とまでは、元の報告も言っていません。 Lancet委員会2020年報告の言い方は「補聴器の使用は、難聴による過剰なリスクを減らすようだ(appears to reduce)」まで。国の認知症施策推進基本計画(2024年12月)も、「難聴の早期の気付きと対応の取組を促進するとともに、その効果を検証する」と、効果はこれから検証する立場です。

それでも、聞こえを放置しない理由は十分にあります。会話が減り、外に出なくなる連鎖を、どこかで止められることです。

聞こえの検査はいつから?どこで?

国立長寿医療研究センターは、60代後半からは難聴が起きやすくなるため、会話で聞き返しや聞き間違いがあるなら、一度きこえの検査を、と案内しています。

入口は耳鼻咽喉科です。補聴器の販売店に直行しないでください。順番を間違えると、控除の道が閉じ、購入前申請が条件の自治体では助成も受けられなくなります。

耳鼻咽喉科の中でも、補聴器を前提にした診療の窓口が「補聴器相談医」です。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が委嘱する、講習を修了した耳鼻咽喉科専門医で、全国に約5,000名。学会サイトに都道府県別の名簿があります。「補聴器相談医 ○○県」で検索してみてください。

補聴器は全額自腹?使える制度は3つ

市販の補聴器は、普及機で平均15万円前後(2024年末の全国調査の報告書による)。条件によって、使える制度が3つあります。

補聴器と歯に使える制度の見取り図
補聴器と歯に使える制度の見取り図

1. 身体障害者手帳(聴覚障害)と補装具費支給

両耳の聴力レベルが70デシベル以上(40cm離れた会話が聞き取れない程度)が、手帳6級の目安です(一側耳90デシベル以上かつ他側耳50デシベル以上でも該当。申請には指定医の診断書が要ります)。手帳があれば、補聴器は「補装具費支給制度」で原則1割負担(所得区分による上限あり・上限価格を超える機種は差額自己負担)。購入前に市町村へ申請する制度なので、先に買ってしまわないでください。

2. 自治体の高齢者向け補聴器購入費助成

手帳の対象にならない40デシベル以上70デシベル未満の「中等度難聴」が、自治体独自の助成の主戦場です。2024年末の全国調査(回答320自治体・回答率18.6%)の結果はこうです。回答した自治体の3割弱(28%)に成人向け助成があり、平均約3.2万円(最頻値は2〜3万円)。72%が65歳以上を対象にし、65%に所得制限あり。全国の3割ではなく「回答した自治体の3割弱」なので、親が住む市町村の高齢福祉担当課に「高齢者補聴器購入費助成はありますか」と聞くのが一番確実です。申請の時期(購入前か後か)や医師の意見書の要否は自治体ごとに違うので、買う前に聞いてください。

3. 医療費控除

補聴器は、条件を満たせば確定申告の医療費控除の対象になります(国税庁の情報・2018年)。順番が命です。

1. 補聴器相談医を受診する

2. 医師が「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を記入・交付する

3. その書類を販売店に出して購入する

4. 提供書の写しと領収書は5年保存し、「医療費控除の明細書」を作って申告する

販売店で先に買うと、この道は閉じます。控除の対象になるのは、その年に家族全員分で払った医療費から10万円(総所得が200万円未満なら総所得の5%)を引いた残りです。補聴器15万円だけなら5万円が対象で、戻りは所得税・住民税を合わせて1万円前後が目安(所得税率10%の場合)。親自身に税金がほとんどなければ戻りは小さいので、生計を一にする子が払って子の申告に入れる形も検討してください(要件は税務署へ)。提供書は診療報酬の対象外で、文書料がかかる場合があります。

補聴器は「買って終わり」ではない

眼鏡と違って、補聴器はかけた瞬間に快適にはなりません。国立長寿医療研究センターは、使いこなすには1日7〜10時間以上、3か月間の装着が目安としています。親が「うるさい」「合わない」と言い出したら、慣らしの途中だと伝えて、相談医の調整に戻れますか?

歯は関係ある?14因子に入っていないのに、なぜ書くの?

先に書いたとおり、歯・口腔はLancetの14因子には入っていません。 それでも書く理由は2つあります。ひとつは、現場で歯も聞こえと同じ連鎖をたどるのを見ていること。もうひとつは、日本の大規模調査で「関連」が示されていることです。

日本の調査で分かっていること

  • 愛知県の65歳以上4,425人を4年追跡した調査(神奈川歯科大学・2012年発表)。歯がほとんどなく、義歯も使っていない人は、20本以上残っている人の1.9倍、認知症発症のリスクが高い。 歯がほとんどなくても義歯を入れると、リスクを4割抑えられる「可能性」も示されました。かかりつけ歯科医院がない人は、ある人の1.4倍
  • 約4.4万人を10年追跡した調査(東北大学・JAGES・2024年発表)。65歳時点の「認知症のない余命」は、歯が0本の人に比べて、20本以上ある人のほうが男性で2.04年、女性で1.75年長い

どちらも「関連」「可能性」までの話です。歯を残せば認知症にならない、という意味ではありません。理由も、噛めなくなって栄養が偏る、咀嚼機能が落ちる、などが考えられている段階です。国の大綱は、かかりつけ歯科医の場を、認知症の疑いに早く気づく場として挙げています。

親の歯は何本残っていますか?

「80歳で20本以上」を目標にした8020運動が始まったのは1989年。2024年の歯科疾患実態調査では、80歳で20本以上残っている人は約6割(推計値)。裏返せば4割は20本未満で、85歳以上では35%まで下がります。

親の歯の本数を、聞いたことがありますか?「何本ある?」で会話が始まる家は少ないので、健診の話から入るのが自然です。

歯科健診はいつ受けられる?

公費の歯科健診は、年齢で決まっています(厚生労働省 e-ヘルスネット)。

  • 20・30・40・50・60・70歳: 市区町村の歯周疾患検診(健康増進法に基づく。20歳・30歳は2024年度から追加)
  • 75歳以上: 後期高齢者歯科健診。歯の状態だけでなく、噛む・舌や唇を動かす・飲み込む、といった口腔機能の評価が入ります

実施の有無・対象年齢・自己負担は市区町村(後期高齢者は広域連合)で異なり、自己負担は多くは無料〜数百円です。案内はがきが来なければ、市区町村の健診窓口に聞いてください。国の枠組みでは、70歳を過ぎると次の節目は75歳まで空きます。 その間はかかりつけ歯科の定期検診でつなぐ形です。2024年の調査では、過去1年に歯科検診を受けた人は75〜84歳で約65%、85歳以上では約50%。親が受けていない側に入っていないか、確かめてみませんか?

通院できなくなったら?

要介護になって歯科に通えなくなっても、あきらめる必要はありません。介護保険には、歯科医師・歯科衛生士が自宅に来て口腔の管理・指導をする「居宅療養管理指導」があります(歯科医師は月2回まで、歯科衛生士は月4回まで。1割負担なら1回数百円台の水準です。担当のケアマネジャーに相談してください)。

届け出ているデイサービスでは「口腔機能向上加算」(1回150単位・月2回まで)があり、飲み込みや口の体操の個別プログラムが付きます。2024年度の介護報酬改定で、デイサービスに通っている人も、歯科衛生士の訪問指導を受けられるようになりました。

注意点をひとつ。介護保険で受けられるのは管理・指導で、治療ではありません。 虫歯や義歯の治療そのものは、歯科医師が自宅に来る訪問歯科診療(医療保険)で受けられます。居宅療養管理指導は、その管理・指導の部分です。

運動・社会参加・生活習慣病は、どう手を打てばいい?

14因子のうち、聞こえと歯以外はどうか。この記事で根拠にしている国の文書と研究の範囲で、書けることを絞ってお伝えします。

大綱は、こう書いています。

運動不足の改善、糖尿病や高血圧症等の生活習慣病の予防、社会参加による社会的孤立の解消や役割の保持等が、認知症予防に資する可能性が示唆されている。

因子一覧と重ねると、家族が関われる場所は3つです。

  • 運動不足(日本の推計で6.0%・難聴に次ぐ2番目): 大綱は「運動不足の改善」を筆頭に挙げています。「毎日1万歩」のような目標値は、この記事の根拠資料には出てきません。親の体に合った量は、かかりつけ医に聞いてください
  • 生活習慣病と生活習慣(高血圧・糖尿病・高LDLコレステロール・肥満・喫煙・飲酒過多): 大綱は、糖尿病や高血圧症等の生活習慣病の予防が認知症予防に資する可能性に触れています。健診結果を親と一緒に見る、通院が途切れていないか聞く。子世代が声をかけやすい場所です
  • 社会的孤立(5%): 聞こえの章で書いたとおり、難聴がある人のうち孤独感もある人は、ない人に比べて要介護リスクが約1.7倍。聞こえに手を打つことは、孤立への手当てにもなります。地域の集まりや役割については、後の章の地域包括支援センターが情報の窓口です

うつ・外傷性脳損傷・視力障害・大気汚染・教育不足については、この記事では日本の国の文書(大綱・基本計画)が家族向けに挙げている範囲に絞り、因子の名前を挙げるにとどめます。Lancet委員会2020年報告は、頭のけがを防ぐこと、大気汚染と受動喫煙を避けることも挙げています。

家庭で今日できることは?

制度を使う前に、家でできることを5つ。どれも今日から始められる内容です。

1. テレビの音量を見る。 帰省したときの音量が、前回より上がっていませんか?聞こえの変化は、本人より家族が先に気づきます

2. 聞き返しの回数を数える。 「え?」「もう一回」が増えていたら、きこえの検査を勧める材料です。「耳が遠くなった」と指摘するより、「一度検査を受けてみない?」のほうが通りやすいはずです

3. 最後に歯科に行った時期を聞く。 「何本ある?」が言いにくければ、「歯医者さん、最近いつ行った?」から

4. 健診の案内はがきを一緒に探す。 歯周疾患検診・後期高齢者歯科健診の案内は市区町村から届きます。親が捨てる前に、帰省のときに郵便物を見せてもらえますか?

5. 会話の量そのものを減らさない。 聞こえにくい親との会話は、家族のほうが疲れて減りがちです。電話より対面、対面なら正面から、ゆっくり。連鎖は「会話をしなくなる」の段階で止められます

どれも費用はかかりません。お金より先に、気づく人がいるかどうか。ここで効くのが子世代の目です。

どこに相談すればいい?

相談先は、困りごとの種類で3つに分かれます。

聞こえのこと → 耳鼻咽喉科(補聴器相談医)

学会サイトの都道府県別名簿で探せます。補聴器を考える段階なら、控除の書類はここでしか出ず、助成の意見書も多くは医師が書きます。

歯のこと → かかりつけ歯科医院、または市区町村の健診窓口

かかりつけがなければ、健診の案内に載っている実施医療機関から選ぶのが早い方法です。通院が難しくなったら、ケアマネジャーへ。

制度全体・親の暮らし全体 → 地域包括支援センター

補聴器の助成の有無、歯科健診の日程、地域の集まり、介護保険の申請。親が住む市区町村の地域包括支援センターは、これらをまとめて聞ける窓口です。家族だけでも相談できます。

▶ 関連記事: 地域包括支援センターとは?相談できること・使い方・探し方

▶ 関連記事: 介護保険申請の完全ガイド|認定までの流れ

この記事は「まだ元気な親」が対象です。すでに物忘れや生活の変化が出ているなら、予防より先に受診と相談。早期のサインと相談先は、こちらにまとめています。

▶ 関連記事: 親の認知症、早期サインと相談先の完全ガイド

よくある質問(FAQ)

Q. 補聴器をつければ、認知症を予防できますか?

「予防できる」とは言えません。Lancet委員会2020年報告の言い方は「補聴器の使用は、難聴による過剰なリスクを減らすようだ」まで。国の基本計画も、難聴への対応の効果を「これから検証する」立場です。それでも、会話が減り外に出なくなる連鎖を止める手段として、聞こえの検査と補聴器の検討には十分な理由があります。

Q. 認知症予防のサプリや脳トレは効きますか?

この記事が根拠にしているのは、Lancet委員会の報告、国の大綱・基本法・基本計画、国立長寿医療研究センターや大学の調査です。Lancet委員会2020年報告は、コンピューター式の認知トレーニングについて「全般的な認知機能の改善を示す証拠は見つからなかった」、ビタミンB・Eの補充についても「有益な効果の証拠はない」と書いています。人と会って頭を使うこと自体は、「社会的孤立」「身体活動」の因子に手を打つ活動です。製品を買う前に、親のかかりつけ医に聞いてみてください。

Q. 親が80代です。今からでも意味がありますか?

Lancet委員会は「認知症予防に、早すぎることも遅すぎることもない」と書いています。因子の一覧でも「社会的孤立」「視力障害」「大気汚染」は高齢期の因子。80代からでも、聞こえ・歯・人との会話に手を打つ意味はあります。

Q. 歯を残せば、認知症は防げますか?

「防げる」とは言えません。歯・口腔はLancetの14因子に入っていません。日本の調査で示されているのは「歯が少ない人ほど認知症発症と関連する」「歯が多い人ほど認知症のない期間が長い傾向」という関連までです。それでも、噛めることは食事と栄養に直結します。年齢の節目の歯科健診と、かかりつけ歯科の定期検診は、費用の安さに比べて得られるものが大きい手です。

まとめ: 「予防」の意味をそろえて、聞こえから手を打つ

要点は5つです。

  • 認知症の「予防」は「ならない」ではなく「遅らせる・リスクを下げる」(国の大綱の定義)
  • 世界で約40〜45%、日本で約39%が、理論上は予防または遅らせられる可能性と推計されている(14の因子)
  • 日本で最大の因子は「聞こえ(難聴)」。眼鏡は8割が使うのに、補聴器は1割未満
  • 補聴器には手帳・自治体助成・医療費控除の3つの制度。順番は「補聴器相談医→書類→購入」。販売店直行は損
  • 歯は14因子には入っていないが、日本の調査で関連がある。年齢の節目の歯科健診と、通えなくなったら訪問の歯科

親のテレビの音が大きくなっていたら、それが最初の合図。次の帰省で、「一度、きこえの検査を受けてみない?」と言ってみませんか?

参考資料(一次資料)

※助成の有無・金額・健診の自己負担額は市区町村によって異なります。医療費控除の適用は個別の状況で変わるため、税務署または税理士にご確認ください。この記事は認知症の診断や治療の代わりになるものではなく、気になる症状があるときはかかりつけ医にご相談ください。


この記事を書いた人

むむぶどう
社会福祉士・ケアマネジャー。社会福祉士として福祉の現場に20年、介護施設・在宅サービスでご本人とご家族の支援に関わってきました。福祉の制度を「使える形」にして届けたい、と思って発信しています。

▶ note(現場のリアル・体験談):https://note.com/mumubudou
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ブログでは「制度の使い方」を、noteでは「現場のリアル」を、Xでは「今日の気づき」を発信しています。

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