社会福祉士・ケアマネジャーのむむぶどう🍇です。
「要介護認定が出たけど、ここから何をすればいいの?」
「ケアプランって誰が作るの?自分で作っちゃダメなの?」
「デイサービスを使いたいけど、いきなり申し込んでいいの?」
認定の通知が届いてホッとしたのも束の間、多くのご家族がここで止まってしまいます。認定はあくまで「介護保険を使う資格」が決まっただけ。実際にサービスを使うには、その前に「ケアプラン(介護サービス計画)」を作る必要があります。この20年で何百件ものケアプランを作ってきた立場から、認定後にケアプランがどう作られ、サービス利用開始までどう進むのかを順を追って整理します。
※制度・金額は2026年6月時点。最新はお住まいの市区町村の介護保険窓口・地域包括支援センターでご確認ください。
ケアプランとは何か(30秒で分かる全体像)
ケアプランとは、正式には「居宅サービス計画」。どんな課題があり、どんな目標に向かって、どのサービスを・週何回・どこの事業所で使うかをまとめた、介護生活の設計図です。まずは全体像を一枚の表で押さえます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 居宅サービス計画(在宅の場合) |
| 作る人 | ケアマネジャー(介護支援専門員) |
| 作る目的 | 必要なサービスを過不足なく組み立てる |
| 費用 | 自己負担ゼロ(全額が介護保険から給付) |
| なぜ必要か | ケアプランがないとサービスが保険給付されない |
ポイントは「ケアプランがないとサービスは介護保険でカバーされない」こと。逆に言えば、ケアプランさえ整えば、自己負担1〜3割でサービスが使えるようになります。
要介護と要支援で依頼先が違う
最初のつまずきポイントがここ。認定区分によって、ケアプランを作る窓口が変わります。
| 認定区分 | 計画の呼び名 | 依頼先 |
|---|---|---|
| 要介護1〜5 | 居宅サービス計画(ケアプラン) | 居宅介護支援事業所のケアマネジャー |
| 要支援1〜2 | 介護予防サービス計画 | 地域包括支援センター(委託あり) |
| 非該当(自立) | — | 地域包括の総合事業・一般介護予防へ |
- 要介護なら、地域の「居宅介護支援事業所」に連絡してケアマネジャーをつけます
- 要支援なら、まず「地域包括支援センター」が窓口。実際の計画づくりは近くの事業所に委託されることもあります
居宅介護支援事業所はどう選ぶ?
- 地域包括支援センターや市区町村の窓口で一覧をもらえる
- 退院時なら病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)が紹介してくれる
- 自宅から近い/訪問してくれる事業所が動きやすい
ケアマネは途中で変更もできます。「合わないかも」と思ったら抱え込まないこと。この点は別記事「ケアマネジャーの選び方・変え方」で詳しく書いています。
ケアプラン作成の6ステップ
実際の流れは、おおむね次の6段階で進みます。
① 契約・受付(インテーク)
ケアマネが決まったら、居宅介護支援の利用契約を結びます。重要事項説明を受け、家族構成・既往歴・困りごとを共有します。
② アセスメント(課題分析)
ケアマネが自宅を訪問し、ご本人の状態・生活環境・ご家族の状況を細かく把握します。
- 食事・入浴・排泄・移動などの自立度
- 認知機能・服薬・通院の状況
- 住まいの段差や手すりの有無
- ご家族の介護力・就労状況
ここが計画の土台。「何に困っていて、何ができるようになりたいか」を一緒に言葉にしていきます。
③ ケアプラン原案の作成
アセスメントをもとに、ケアマネが原案を作ります。
- 生活全体の目標(長期・短期)
- 必要なサービスの種類・回数・事業所
- 区分支給限度基準額(使える上限)の範囲に収める
④ サービス担当者会議
原案をもとに、関係者が集まって内容をすり合わせます(次の章で詳しく)。
⑤ ケアプランの確定・同意
会議を踏まえて修正し、ご本人・ご家族が内容に同意・署名。これで正式なケアプランになります。
⑥ サービス利用開始
各事業所と個別契約を結び、いよいよ利用スタート。デイサービスや訪問介護が始まります。
認定後、ここまでおおむね1〜2週間。退院に合わせるなど、急ぐ事情があれば早めてもらえます。
サービス担当者会議って何をするの?
ケアプラン作成で多くの方が身構えるのが、この「サービス担当者会議」。でも、難しく考えなくて大丈夫です。
- 誰が集まる?:ケアマネ、ご本人、ご家族、利用予定の事業所(デイ・訪問介護・福祉用具など)、必要に応じて主治医
- どこで?:自宅で開くことが多い(オンライン併用も増加)
- 何をする?:ケアプラン原案を共有し、専門職それぞれの視点で「この回数で大丈夫か」「リスクはないか」を確認
- 所要時間:30〜60分程度
ご家族にしてほしいのは、専門用語の理解ではありません。「本人がどう過ごしたいか」「家族として何が不安か」を遠慮なく伝えること。会議は、その願いをチーム全体で共有する場です。
ケアプランの費用(自己負担はゼロ)
ここは多くの方が驚くポイントです。
- ケアプラン作成(居宅介護支援)の費用は、全額が介護保険から給付され、利用者の自己負担はありません
- ケアマネに何度相談しても、訪問してもらっても、料金は発生しません
- 自己負担が出るのは、ケアプランに基づいて使う「サービスそのもの(デイ・訪問介護など)」の1〜3割だけです
「相談したらお金を取られるのでは」と遠慮して、ケアマネに連絡しないのは一番もったいないパターンです。
自分でケアプランは作れるのか(自己作成)
結論:作れます。これを「セルフケアプラン(自己作成)」と呼びます。市区町村の介護保険窓口に届け出て、本人・家族が自分で計画を作る方法です。ただし、費用ゼロのケアマネに頼めるのに、あえて自己作成する人はごく少数です。
自己作成の現実
- 区分支給限度基準額の管理、サービス事業所との調整、給付管理票の提出まで全部自分で行う必要がある
- 毎月の実績報告や書類作成の手間が大きい
- 制度改正への対応も自分でキャッチアップが必要
「自分の介護に主体的に関わりたい」という強い動機がある方には選択肢ですが、ほとんどの方はプロのケアマネに任せた方が、結果的に必要な支援を過不足なく受けられます。費用がかからない以上、まずはケアマネに相談するのが現実的です。
施設のケアプランは在宅と何が違う?
特養・老健などの施設に入ると、ケアプランの作り手が変わります。
| 項目 | 在宅 | 施設 |
|---|---|---|
| 計画名 | 居宅サービス計画 | 施設サービス計画 |
| 作る人 | 居宅のケアマネ | 施設のケアマネ |
| 範囲 | 複数事業所を組み合わせる | 施設内のケアが中心 |
| 担当者会議 | 外部事業所も集まる | 施設内の多職種で実施 |
在宅では「あちこちのサービスを束ねる」のがケアマネの役割、施設では「その施設での暮らし全体を設計する」のが中心になる、というイメージです。
作って終わりではない(モニタリングと見直し)
ケアプランは「作って完成」ではありません。生活は変わり続けるので、定期的に見直します。
- モニタリング:ケアマネが原則月1回以上自宅を訪問し、計画どおりに進んでいるか・困りごとは増えていないかを確認
見直し(更新)のタイミングは次のとおりです。
- 要介護認定の更新・区分変更があったとき
- 退院・退所などで状態が大きく変わったとき
- 本人や家族の希望が変わったとき
- サービスが合わなくなってきたとき
「最近ちょっと歩けなくなってきた」「家族が仕事を始めて昼間みられなくなった」——そんな小さな変化でも、ケアマネに伝えればプランを組み直せます。
困った時の相談窓口
- これから認定を受ける/区分が要支援:地域包括支援センター
- 要介護でケアマネを探したい:地域包括支援センター・市区町村の介護保険課・(退院時は)病院のMSW
- 今のケアプランやケアマネに不満:担当ケアマネ本人→事業所の管理者→地域包括の順で相談
- 制度全般の確認:市区町村の介護保険課
まずは地域包括支援センターに電話。「認定は出たけど次が分からない」と伝えれば、その先の段取りまで案内してくれます。
まとめ|ケアプラン、3つの行動指針
①認定が出たら、サービスより先に「ケアプラン」
要介護は居宅介護支援事業所、要支援は地域包括支援センターへ。ここを通さないとサービスは介護保険でカバーされません。
②ケアプラン作成は費用ゼロ
遠慮せずケアマネに相談するのが最短ルート。相談・訪問に料金はかかりません。
③プランは作って終わりではない
生活が変わったら、その都度ケアマネに伝えて組み直す。小さな変化でも遠慮なく。
制度はややこしく見えますが、入口さえ分かれば確実に使えます。迷ったら地域包括支援センターに電話。動き出すのは今日からで間に合います。
この記事を書いた人
むむぶどう
社会福祉士・ケアマネジャー20年。介護施設・在宅サービスの現場で、ご本人とご家族の支援に関わってきました。福祉の制度を「使える形」にして届けたい、と思って発信しています。
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