「介護保険って聞いたことあるけど、正直よくわからない」
「親が高齢になってきたけど、何をどう申請すればいいの?」
そんな方に向けて、介護保険のしくみを現場目線でわかりやすく解説します。
社会福祉士・ケアマネジャーとして20年以上、数百人の介護相談に関わってきた私が、制度の全体像から申請の手順まで一気に説明します。
介護保険とは?40秒でわかる制度の概要
介護保険は「介護が必要になったとき、費用の一部を国や自治体が負担してくれる制度」です。
2000年にスタートした比較的新しい制度で、利用者はかかった費用の1〜3割を自己負担するだけでサービスを受けられます。
財源の半分は税金(国・都道府県・市区町村)、残り半分は40歳以上の人が毎月払う「介護保険料」で成り立っています。
誰が使えるの?対象者は2種類
介護保険の対象者は年齢によって分かれます。
第1号被保険者(65歳以上)
65歳以上の方は、原因を問わず介護や支援が必要と認定されれば利用できます。
加齢による体力低下・認知症・骨折後のリハビリなど、幅広い状態が対象です。
第2号被保険者(40〜64歳)
40〜64歳の方は、特定の16疾病が原因で介護が必要になった場合に限り利用できます。
代表的なものに「初老期認知症」「脳血管疾患(脳梗塞など)」「関節リウマチ」があります。
申請から利用開始まで5ステップ
介護保険を使うには「要介護認定」を受ける必要があります。流れはこうです。
STEP 1:地域包括支援センターに申請
本人・家族・地域包括支援センタースタッフが代理申請できます。
「介護保険を使いたい」と伝えれば、窓口で手続きを教えてもらえます。
STEP 2:認定調査員が自宅へ来て聞き取り調査(約1時間)
日常生活の様子・できること・できないことをチェックします。
本人がいる場で行われるため、できれば家族も同席しましょう。
STEP 3:主治医の意見書(主治医が記入)
かかりつけ医に依頼します。申請後に自治体から直接医師に依頼が行くため、本人が動く必要はほぼありません。
STEP 4:審査・判定(約30日)
聞き取り結果と意見書をもとに、コンピューター判定+専門家委員会で審査します。
STEP 5:認定結果の通知・ケアマネジャーを選んでサービス開始
「要支援1〜2」「要介護1〜5」のいずれかが認定されます。
非該当(自立)の場合は介護保険サービスは利用できませんが、自治体の独自サービスが使えることもあります。
認定区分によって使えるサービス量が変わる
要介護度によって、1か月に使えるサービスの上限(支給限度額)が決まっています。
| 区分 | 状態の目安 | 支給限度額(月) |
|---|---|---|
| 要支援1 | 日常生活はほぼ自立・一部支援が必要 | 約5万円 |
| 要支援2 | 歩行・入浴等に一部介助が必要 | 約10万円 |
| 要介護1 | 立ち上がり・歩行が不安定・認知機能の低下も | 約17万円 |
| 要介護2 | 歩行・排泄・入浴に介助が必要 | 約20万円 |
| 要介護3 | 排泄・入浴・整容すべてに介助が必要 | 約27万円 |
| 要介護4 | 日常生活の多くで全介助が必要 | 約31万円 |
| 要介護5 | ほぼ全面介助・意思疎通も困難 | 約36万円 |
※2024年時点。自己負担は原則1割(収入によって2〜3割)。
使えるサービスはどんなもの?
介護保険では大きく「在宅サービス」と「施設サービス」があります。
在宅で受けられる主なサービス
- 訪問介護(ヘルパー):自宅に来て身体介助・生活援助
- 訪問看護:看護師が自宅に来て医療的ケア
- 通所介護(デイサービス):施設に通って入浴・食事・リハビリ
- 訪問リハビリ:理学療法士・作業療法士が自宅でリハビリ
- 福祉用具貸与:車いす・ベッド・歩行器などをレンタル
- ショートステイ:短期間施設に泊まって介護を受ける
施設に入る場合
- 特別養護老人ホーム(特養):要介護3以上が対象・費用が安め
- 介護老人保健施設(老健):退院後のリハビリ目的で自宅への復帰が主な目的
- グループホーム:認知症の方向けで小規模の施設
自己負担額はいくら?
利用したサービスの合計金額の1〜3割を自分で支払います。
| 所得区分 | 自己負担割合 |
|---|---|
| 一般(年収約155万円未満) | 1割 |
| 現役並み所得(年収約280万円以上) | 2割 |
| 現役並み所得(年収約340万円以上) | 3割 |
また、1か月の自己負担が一定額を超えたとき、超えた分が払い戻される「高額介護サービス費」という制度があります。これは申請しないともらえないので注意が必要です。
まとめ:まず地域包括支援センターに電話してください
介護保険の申請は、市区町村の窓口か地域包括支援センターに連絡するところから始まります。
「うちの親、介護保険を使えますか?」の一言だけで大丈夫です。状況を聞いて、申請が必要かどうかを一緒に判断してくれます。
「まだ早いかな」と思っていても、認定まで1か月かかるため、心配になった時点で相談するのが正解です。自分や親御さんの住む地域の担当の地域包括支援センターを知るところから始めてもいいと思います。
制度は複雑に見えますが、プロを使えば難しくありません。ぜひ遠慮なく相談してくださいね。
むむぶどう / 社会福祉士・ケアマネジャー|福祉の相談屋さん歴20年


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